幹事クリタのコーカイ日誌2007

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2月6日 ● 下手な喩え話は害毒である。

 柳沢「産む機械」発言について石原都知事が「喩え話に失敗しただけ」と同情的だったそうです。問題はそこにあるのではなく、「女がワガママ言って子どもを産まないのがいけない」という発言の骨子そのものにあるのですが、石原慎太郎なんて絶対に「女は子どもを産むことが役目」だと考えているに違いありませんから、こんな勘違いオヤジに対してどうこう突っ込んでも仕方ありません。

 ただこの失敗した喩え話があったからこそ、この発言がこれほど大きな問題に発展したことも確かです。それによって北九州市長選では与党候補が惨敗を喫し、現職が圧倒的有利だと思われた愛知県知事選ですら接戦になってしまいました。なにせ神田愛知県知事にはマイナスポイントがほとんど見当たりません。万博と中部国際空港という2大プロジェクトを成功させ、地元の経済は活況を呈し、本人もスキャンダルとは無縁のクリーンなイメージで、しかも老けて見えますが実は年齢もまだ55歳と若いのですから、いくら民主王国愛知と言えども無敵だったはず。

 そもそも国政と県政、しかも厚生労働相の発言と知事選を結びつけるのは論理的に無理があるにも関わらず、それがこれほどの接戦になったのですから、いかに「失敗した喩え話」が強力な爆弾だったかということであり、勝ったとはいえ与党が統一地方選、参院選への影響を懸念するわけです。

 まあかくなる上は、さっさと柳沢を切った方が安倍内閣としては良いと思いますけどね。予算審議を欠席した野党に対する批判も高まっているので、今後は国会でこの問題を討論することになるはず。その時にこのまま国会で野党から標的にされるくらいなら、降ろしてしまった方がマシでしょう。もっとも、切るならもっと前に切っておくべきでしたけどね。これだけ柳沢を守ろうと安倍が必死になるのは、何か裏があるのかと勘ぐられても仕方ありません。

 それにしても下手な喩え話はつまづきの元。昨日の朝日新聞に「同族経営 甘さ脈々」という最近の企業不祥事に関する記事がありましたが、その中で法政大学の清成忠男名誉教授(前総長)が「不祥事が起きている企業をみると、同族維持が目的化している例が多く、これだと『劣性遺伝』が続く。」とあります。恐らく「悪い体質が引き継がれていく」ということを言うために気の利いた喩えをしたつもりだったんのでしょうが、大学の総長までつとめた偉い先生が中学生でも知っている「劣性遺伝」の意味さえ知らないのでしょうか?

 「劣性」とは形質が現われにくい弱い遺伝子であって、決して劣っている遺伝子のことではありません。そんなことも知らない前総長も総長ですが、ノーチェックで記事にしてしまった朝日新聞も朝日新聞です。経済学者と経済記者だからと言って、知らなかったでは済まないと思いますが。

 

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