幹事クリタのコーカイ日誌2007

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1月26日 ● 教員免許更新制の危うさ。

 安倍内閣の目玉である教育改革。いろいろな施策が打ち出されていますが、どれもこれもアイデアをそのまま練らずにとにかくジャンジャン出しておけ、という感じがします。今や悪評高い「ゆとり教育」を実施する時は、もう少し時間をかけてあれやこれや議論して決められていったように思うのですが、今の「反ゆとり教育」はいかにも拙速。見ていてもうまくいくはずないよなぁと思わず溜息が出てしまいそうです。

 そのうちのひとつが「教員免許更新制」。確かに教師の質は下がっているかも知れません。やる気も能力もない先生だとわかっていても、子どもを預けざるを得ない親としては心配で仕方ありません。だからそういう先生は首にしちゃってくださいよ、というのは無責任な親の立場からなら簡単に言えますが、実際に現場でどう運用されるか考えたら、そんなに簡単なことではないと思います。

 まず誰が免許更新の審査をするのか。普通に考えれば親でも子どもでもなく、管理者である校長や教育委員会でしょう。しかし、それは校長が気にくわない部下を簡単に葬り去れる制度になってしまわないでしょうか?もしそんな権限を校長が持っていたら、普通の先生は校長の顔色ばかりを窺ってしまいそうです。それでは単純に校長の権限強化につながるだけではないかと思います。

 それに伴って、何をもって不適格として教員免許を取り上げるのかは、かなり難しい判断になります。授業が下手だから、子どもとのコミュニケーションが苦手だから、部活動の顧問をやらないから、校長に対してズケズケとモノを言うから、日教組に入っているから。そんな理由で免許を取り上げていたら、半分くらいの教師がいなくなってしまいます。

 わかりやすいのは飲酒運転とかわいせつ行為とか、法に触れるような事件を起こしたら。それは免許更新を認めない以前の問題で、さっさと首にしてしまえば良いのです。しかし、お酒好きで飲酒運転しそうだから首にできるかと言うと、本当に飲酒運転で検挙されない限りは無理でしょう。では子ども好きでロリコンだから。これは親からしてみたら絶対に子どもを預けたくないですが、飲酒と一緒で、好きなだけでは首にできません。校長がその教師のデスクの引き出しにロリコンマンガを隠し持っているのを見つけても、それだけで免許更新しないと言うのは無理があります。きっと訴えられたら裁判で負けるでしょうから、やはり首にはできません。

 疑わしいだけでは首を切れないし、かと言って予見できたのに犯罪をおかすまで放置していたとなっては、水戸黄門じゃあるまいしそれは世間が通りません。つまるところ、教員免許更新制は校長の「伝家の宝刀」として教師の締め付けに使うくらいしか使い道がないのではないかと思います。それでは「いじめ」をなくすことなんてできないし、「学級崩壊」も止められないでしょう。

 先生たちにそんなことして脅して締め付けるよりも、もっと現場がやりやすくなって、やる気になるような施策はなかったのでしょうか?ほとんどの先生は子どもたちともっと触れ合いたいのだと思います。ところが雑事に追われてそれどころではないと聞きます。だったら少人数学級にして、担任も必ず複数にするとか、部活動の顧問にも手当をちゃんとつけてあげるた上で、地域の人のお手伝いをもっと認めるとか、やりようはあるでしょう。制度さえ作ればそれで問題が解決したような気になっている政治家・官僚の態度にはつくづく呆れてしまいます。大事なのは現場での運用なのに。


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