幹事クリタのコーカイ日誌2007

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1月18日 ● 残業代で人生を売るか。

 ホワイトカラー・エグゼンプション、別名「残業代ピンハネ法」を、何とか法制化しようと政府が画策していましたが、とうとう諦めたようです。マスコミでも頻繁にこの話題が取り上げられたように、今の日本の労働事情でこれを取り入れるのは時期尚早で、きっと理念通りに運用されるわけもなく、大半の企業では労働強化につながるだけでしょう。これで儲かるのは企業だけで、ますますサラリーマンは搾取される一方になると思います。

 これだけ批判されていて、国会での成立も難しい状況なのに、それでも国会に法案を提出しようとごり押ししていた安倍内閣は、たとえ参院選に負けても財界のご機嫌を取りたいんだろうと推察されます。国会提出見送りを決めたことで、財界がかなりおかんむりのご様子ですから、今ごろ安倍総理はご機嫌取りに必死なのではないでしょうか。

 自民党というのは昔から財界に向いて政治をしてきた政党ではありましたが、ここまでべったりというのはあまり記憶にないし、ただただごく少数の富裕層のために圧倒的多数から搾取を強化するようなシステムを作って格差を広げようとしている安倍政権というものを一体誰が支持しているのか、僕にはさっぱり理解できません。いい加減、雰囲気だけで政治家に対して人気投票するのは頭が悪すぎるのでやめませんか?

 ただこのホワイトカラー・エグゼンプションも、使いようというか、今の日本の現状には合わなくても、新しい働き方の提案として考えれば、決してコンセプトが悪いというわけではないと思います。上司に言われるままに受身で仕事をこなし、とにかくダラダラと仕事をすれば残業代が稼げ、家庭で過ごす時間も個人で趣味を楽しむ時間もないという多くの日本のサラリーマンの働き方は、決して理想的とは言えません。それは残業代のために自分の人生を切り売りしているようなもので、そんな人生が理想的なわけがありません。仕事はすばやく効率的にこなし、自分の時間を大事にしたいと多くのサラリーマンは考えているはずです。

 それができないのは個人の努力が足りないのか、それとも会社の体制が間違っているのか。恐らくほとんどのサラリーマンは「会社が悪い」と考えていることでしょう。十分な給料がもらえていれば残業代なんて必要ないし、仕事が定時に終わらないほど目一杯押しつけられているのも会社の人事制度のせい。しかし会社側はほとんどの場合「個人の働き方に問題がある」と考えています。仕事が終わらないのは個人の能力が低いからだし、たちの悪い奴らは残業代稼ぎのためにダラダラと仕事をしているんだと。だからこそ、ホワイトカラー・エグゼンプション導入という提案がなされるわけですから。

 理想と現実は違うし、現実にそぐわない理想をいきなり実現しようとしても無理なこともわかります。ただだからと言って、理想からはほど遠い今の現実を肯定するのも進歩がありません。ホワイトカラー・エグゼンプションを頭から否定することは、現実の今の日本の労働事情をそのまま肯定することになりかねません。この制度を労働強化に悪用されないようにしながら、うまく労働環境を改善していけるような方策を労使が協調してできれば良いんです。それこそ「理想論」だと言われかねませんが。


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