幹事クリタのコーカイ日誌2006

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12月22日 ● 亀田人気の低落。

 亀田興毅とファン・ランダエタの再戦は、今回は誰が見ても文句のない亀田の判定勝ちに終わりました。この結果、何とか八方丸く収まったということなんですが、亀田を売り出していく商売として考えた時は、これで「最低限」というか、「停滞」というか、ちょっと頭が痛いところでしょう。

 亀田の人気というのはアンチも含めたものです。あの柄の悪いルックス、態度、口の利き方、親兄弟のパフォーマンスも込みで、注目を集めているわけです。だからボクシングスタイルも、今回のように足を使った堅実なボクシングではなく、前回の試合のようにガンガン突っ込んでいって喧嘩のように「殴り倒す」という方がいいわけです。

 ところが今回はとにかくまずはっきりと勝たなければならなかったのが足枷でした。そのためには試合前にいろいろパフォーマンスをして亀田に負担をかけるのも自粛したし、危険を冒してノックアウトを狙うよりも、ダメージを受けないボクシングを選ばざるを得ませんでした。

 狙い通りに亀田は決定打をもらわずポイントを重ねて初防衛戦を制すことができました。これでチャンピオンとしての正当性を確立できたのですが、反面これまで人気を盛り上げてきた「亀田らしさ」を封印せざるを得ませんでした。普通のボクサーになった亀田にファンもアンチも共に物足りなさを感じたことだろうと思います。今回の視聴率は30%と、前回の45%から大幅ダウン。次回の防衛戦の視聴率はもっと心配です。

 もちろん正統派のボクシングファンとしたら、そんなパフォーマンスではなく、きちんとボクシングをして勝ってファンから支持されれば良いじゃないか、と思うことでしょうが、白井義男やファイティング原田の時代とはボクシングを取り巻く状況が違います。いくら世界王者だからと言っても、それだけで日本中の耳目を集めることはもはやできないのです。

 だからこその亀田一家のパフォーマンスですし、それをボクシング関係者も容認していたわけです。沈滞する演歌を活性化するために氷川きよしであれだけ歌謡界が仕掛けていったのと同じことです。トリックスターでも良いから日本ハムにおける新庄のような、テニス界における松岡修造のような役割を果たすスターがボクシング界には必要なのです。

 もっとも、それでももはやボクシングは滅びていくしかない競技かも知れません。スポーツから暴力性がどんどん排除されていく中、未だに死ぬかもしれない危険な競技が全世界的に支持を得ることができるのかどうか。ボクシングを好きだ、ということが、良識のある人々から眉を顰められるような反社会的な行為としてとらえられる時代は冗談ではなくあり得ると思います。氷川きよしが演歌界最後のスターかも知れないと同様に、亀田の人気もボクシング界最後のあだ花に終わるかも知れません。

 

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