幹事クリタのコーカイ日誌2006

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12月14日 ● サークル解散の危機だった。

 昨日うちのテニスサークルのメンバーでホンジュラスから2年振りに帰国してきたKちゃんに会い、一緒にテニスをして、いろいろ楽しい話も聞きました。それはそれで良いのですが、彼女がサークルにいた頃の彼女と同世代のメンバーが今はほとんどいなくなったね、という話になりました。当時のメンバーの今の消息を確認しながら、そう言えばあの頃のメンバーに僕はストレスがたまったなぁと思い出してしまいました。サークルを20年間運営していますが、その当時が一番精神的にきつい時期だったのを今でも覚えています。

 Kちゃんと同世代のメンバーが続々とサークルに入ってきた数年前。彼ら彼女らは大半が大学の体育会出身で、テニスはそれまでのメンバーもよりもずっとレベルが高く、僕はサークルのレベルアップと若返りが図れて最初はかなり喜んでいました。みんな一人一人は優しくて良い子たちでしたし、話していてもイヤな感じはありませんし、あまり強烈な癖や個性もありません。むしろどちらかと言うとそれ以前のメンバーよりも大人しいイメージだったのです。

 ところが最初は2〜3人だったのに、どんどん同世代の数が増えてきて10人近くなった頃から、どうも彼らは自分たちだけで固まるようになってきたのです。年上のメンバーたちとはあまり交流せず、サークル内別グループのようになってきて、一緒にお茶にも行かないし、サークルとは別のところで集まって一緒にテニスをしたり飲み会をしているようなのです。

 当初は僕も「まあ年が近いもの同士で仲良くやりたいのは仕方ないか」と大目に見ていたのですが、だんだんと目に余るようになってきて、泊まりでテニスに行っても、自分たちだけで話していて部屋から出てこないようなことにまでなってしまいました。前からいるメンバーからは当然その排他的な雰囲気にブーイングが出るし、僕と彼らの関係も、まるで上司と部下か先生と生徒のようで、僕には気を遣ってくれてはいますが、仲間意識はないようです。もちろんサークルに対する愛情も希薄ですし、帰属意識もかなり低いようでした。

 「あんな連中はまとめてクビにしろ」と言うメンバーも出てくるくらい、古いメンバーは結構苦々しく思っていて、僕も立場的に苦しくなってきました。このままではサークル分裂かもと感じていました。それでも僕はみんな個々には良い子たちだし、自分たちだけで固まってしまうのは良くないということを、いつか彼らも年齢を重ねたらわかってくれるだろうと思って我慢していたのです。

 ところが、それがわかってもらえる前に結婚やら何やらそれぞれの事情で、ひとりまたひとりと歯が抜けるようにそのメンバーが欠け始めたのです。本当に1年くらいの間にどんどんやめていって、いつの間にか当時を知らない新しいメンバーへと様変わりしてしまいました。クビにする前に向こうから出ていってしまったのです。そのせいか、今ではサークルも比較的平穏ですし、僕も当時に比べればずっと運営にストレスを感じることは少なくなりました。

 あの頃は「彼らは若いから仕方ないんだろう」と思っていました。社会的訓練が足りなくて未熟だから、年上との付き合い方がわからなくて、同世代で群れたがるのだろうと。しかし、今はその下の世代がサークルに入ってきていますが、彼らは若くてもちゃんと年上とも付き合ってくれていますし、自分たちだけで分派活動のようなこともしません。となると、どうやらこれは年齢の問題ではなく世代的な特徴だったのではないかと思い至るようになりました。

 彼らはいわゆる「第二次ベビーブーマー」です。1971年〜1974年に生まれたこの世代は、「何事にも距離を意識的にとった上で「自分らしさ」というものに深くこだわり、「個」を重視しつづけるマイペース型の淡白人間」だそうですが(こちらから)、それがサークルに馴染まず分派活動をすることにつながるのかどうなのか、僕にははっきりわかりません。少ないサンプルで世代をひと括りにして語るのはかなり危険なことですから、それでこの世代に「同世代だけで群れたがる」というレッテルを貼る気もありません。きっとこれを読んだその世代の人から「わたしは違う」と反論も出ることでしょう。そもそも本人たちだって、そんな悪気があってやっていたことではないだろうと僕は今でも思っています。

 ただ、あの頃は苦労したなぁ、サークルを一度解散して新たに立ち上げ直そうかと何回も考えたもんなぁ、という思い出だけが、昨晩久しぶりに僕の脳裏に甦ったのでした。今ではもうこれも思い出の彼方になっていますが、20年あればいろいろあります、ほんと。


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