幹事クリタのコーカイ日誌2006

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12月12日 ● ノロウイルスとネーミングの力。

 最近はノロウイルスが猛威を振るっているそうで、特に学校で流行すると、子どもたちがみんなバタバタと倒れていくようです。子どもは免疫力が弱いし、なにせろくに手も洗わないで口にいろいろ入れちゃうから簡単に感染するんでしょうね。

 ノロウイルスは二枚貝、特に生牡蠣から感染することが多いと伝えられていますが、実はそれ以外の経路からの感染が多数を占めるようです。予防にはとにかく食材には火を通すことと、手洗いの励行が必要。基本的には食中毒なので、嘔吐と下痢でトイレにこもりっきりとなりますから、かかっている間はかなり辛く悲惨です。僕が昔生牡蠣に当たった時も丸一日寝込んでしまい、しばらくはヘロヘロでした。

 もっとも、ノロウイルスというと、なんだか新種の怖い感染症のように聞こえますが、実はこんな名前がついたのは2002年からだそうで、それ以前は単に「胃腸風邪」などと呼ばれていただけだそうです。忘年会シーズンに風邪を引くと「この時期の風邪はお腹にくるからねぇ」などと昔から言っていましたが、あれがノロウイルスだったわけです。いま振り返れば思い当たるような症状の時が僕にも過去にありました。

 だからと言って油断しちゃいけませんが、それでも大抵は1日か2日寝ていれば良くなるようです。ただその割りに怖そうな名前がつくと急に大変な病気のように思えてしまいます。ノロウイルスは「呪う」とか連想するからいけません。「のろま」も連想しますが、愚鈍そうでかえってそれがまたイヤだったりしますし、どうもこのウイルスにはネーミングのパワーが感じられます。

 世の中なんでも名前がつくと急にクローズアップされて大事になります。ストーカーだってセクハラだって、昔はそんな名前がなかったので単なる「困った人」だったのに、今じゃほんのちょっとしたことでもすぐに「ストーカー呼ばわり」「セクハラ扱い」されてしまうので、男性側も言動には慎重にならざるを得ません。

 こちらからすると、女性に対してもう一歩踏み込んだコミュニケーションが取りにくくなったなあ、と思うのですが、女性にしてみれば、その「もう一歩」が今まで余計だと感じていたかも知れませんし、こればっかりは相手に合わせるしかないですからね。そういう意味では、名前が付いたことはやはり良かったのかも。

 これからも、今はまだ漠然と「こんな感じ」で思われていることに、新しい名前が付いては、その概念が広まっていくんでしょうね。多分時代的には環境問題とか高齢化社会とか、その周辺でどんどん新しい言葉が生まれ続けていくのだと思います。例えば「エイジング」なんて英語で言えば急に年を取ることが学術的(?)に感じるし、「静脈産業」とか言うと、急にこれまで「3K」だと思われていたような仕事もイメージが良くなってしまいます。名前ってやっぱり大事です。

 もっともただの少女売春を「援助交際」と言い換えるような、名前にごまかされることもありますから、よくよく中身は吟味しないといけませんけどね。


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