幹事クリタのコーカイ日誌2006

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12月2日 ● メジャー流出は日本野球に還元される。

 松坂に続いて井川が30億円でヤンキースに買われていき、さらにポスティングではなくFAですが岡島がレッドソックス入り。ますます日本からアメリカ大リーグへと選手が流出していきます。はじめに野茂がドジャースに行った頃には、まさかここまでこの流れが大きくなるとは思いもしませんでした。そもそも野茂がメジャーで通用するのかどうかすら怪しむ声の方が多かったくらいでしたからね。パイオニアはいつも偉大です。

 もっとも、これだけスター選手がアメリカに渡ってしまうと、日本プロ野球は中身がスカスカで、だから人気も凋落するんだと言われます。何らかの歯止めをかけなければプロ野球は終わりだと、悲壮感をもって語る人までいるようです。しかし本当にそうでしょうか?

 まず現実に日本のプロ野球人気が落ちているかどうかですが、これは決してそんなことはないと思います。落ちているのは巨人の人気であり、巨人戦の視聴率です。つまり読売グループが「落ちた落ちた」と騒いでいるだけで、他のチームにしてみればむしろ人気は上がっている方が多いはずです。

 トータルの観客動員数では1970年頃に比べれば倍増しています。個々に見ても、先日の中日ドラゴンズの優勝パレードは35万人も動員しました。阪神は観客動員数で圧倒的な強さを誇り、福岡や札幌、仙台でのソフトバンク、日本ハム、楽天の人気も安定しています。地域に根付いている球団にとってプロ野球はむしろ人気上昇中のスポーツです。

 「企業スポーツ」から「地域スポーツ」へと先に転換したのはサッカーJリーグでしたが、その影響を受けたプロ野球でも効果は着実に上がっているのです。巨人だけがいつまでも古いビジネスモデルにとらわれているから、右肩下がりを続けているだけです。日本人メジャーリーガーが増えたことで、メジャーリーグの試合を見慣れた日本のファンは、むしろ勝った負けだだけではない本来の「野球自体の面白さ」に目覚めて、地元のチームを支えていくようになるのだと思います。

 さらに松坂が獲得した巨額の資金で西武ドームが改修されたりというような投資が行われるならば、長い目で見ればポスティングシステムは決して悪いことではありません。メジャーリーグに比べて日本のプロ野球が見劣りするのは球場の環境です。天然芝のグラウンドはないし、観客席も貧乏臭いし、ユニークさとかオリジナリティにも欠けるし。まあ球場整備だけではなく、他に使っても良いのですが、とにかく巨額の資金をそうした投資に回せるのならば、むしろアメリカよりも日本の方が得しているのかもと思います。

 そして、メジャーリーガーがたくさん増える最大の利点は、日米の交流が進むことで、とりわけ閉鎖的だった日本プロ野球界の意識革命が進むことです。メジャーリーグを経験した選手たちは、必ず彼我の違いに気づき、日本のプロ野球の問題点を意識することになります。彼らはほとんどがエリート選手、スター選手ですから、日本に戻ってくればそれなりの発言力、影響力があります。野茂、イチロー、松井秀、城島らがいつか日本に戻ってきて、指導的立場に立ってプロ野球改革を進めてくれるようになれば、もっと日本のプロ野球も面白くなるはずです。


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