１０月中旬のある日、Ｍっちゃんの元に関西国際空港の税関から１本の電話がかかってきました。それは「不審な荷物が届いているので関空まで確認に来てください」という呼び出しでした。どういうことか？実はＭっちゃん、海外通販サイトで違法裏ＤＶＤをまとめて１３枚（約３万円強）も購入していたのです。４７才でそんなエロエロなものを購入すること自体がかなり間抜けですが、もっと間抜けなことにその荷物が関空の税関で引っかかってしまったのです。

　驚いたＭっちゃんはとりあえず「関空までなんて忙しくて行けない」と突っぱねた後、慌てて２ちゃんねるに「どうしたら良いでしょう？」と書き込みました。Ｍっちゃんは困ったことがあると、いつも僕に聞くか２ちゃんねるに書き込んで相談をするのです。関空税関からの電話で「こちらに来てくれないなら、法に触れてるんで任意でなく強制になりますよ」と脅されて、Ｍっちゃんはもうかなりびびりまくりです。クレーマーの小悪党の癖に小心者なのがＭっちゃんの特性ですから。

　２ちゃんねるでは早速様々なアドバイスが飛び交いましたが、基本的には「そんなものは脅しだ、逮捕なんかできないんだから、違法ＤＶＤとは思わなかったと言って突っぱねろ」というものでした。なかなか法律に詳しい人がいたようです。

　説得力のある書き込みにすっかりＭっちゃんは頼りきりで、連日のように税関からかかってくる電話に対していつも２ちゃんねるでのアドバイス通りに応対し、その報告を書き込みました。まさに「電車男」ならぬ「裏ＤＶＤ男」状態。スレッドも結構盛り上がっています。

　税関もなかなか粘り強く、毎日１時間以上も「関空に来い」と電話で説得してくるそうですが、２ちゃんねらーをバックにしたＭっちゃんはどんどん自信をつけてしまい、最後は「こちらから行く気はないから、どうしてもというのなら名古屋まで令状を持ってこい」などと高飛車な態度をとって余裕綽々の応対でした。まさに怖いものなしのＭっちゃんですが、唯一の気がかりは、せっかくの裏ＤＶＤが一度も見ないで没収されてしまうこと。それだけでも何とか取り返せないかと画策しますが、さすがに２ちゃんねるでも「諦めろ」とのご宣託を受けてしまいました。

　ところがそんな「来い」「行けない」の押し問答が半月ほども続いた頃、会社にいたＭっちゃんの携帯が鳴りました。相手はいつもの関空の税関です。「今あなたの自宅前に来ています。強制捜査しますから立ち合ってください」とのこと。「強制捜査」の言葉にＭっちゃん大パニックです。支社長に「す、すいません、オヤジが倒れたので家に帰ります」と例によって嘘をついて自宅にダッシュで戻りました。すると自宅の前には大型ワンボックス。Ｍっちゃんが着くと強面の男性がなんと４人もクルマから出てきました。みんなヤクザみたいな風体です。大ピンチです！

　これはヤバイ。いよいよ身の破滅か、前科者か。奥さんにはなんて言い訳するのか。どうする、どうなるの、Ｍっちゃん！つづくっ！