幹事クリタのコーカイ日誌2006

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11月11日 ● 拙速の教育基本法改正の狙い。

 今国会中にも安部内閣は教育基本法を改正するつもりのようです。いくらなんでも急ぎ過ぎという気がしますが、どうして誰もストップをかけないのか不思議です。教育は国家百年の大計です。発足して1ヶ月や2ヶ月の内閣が安易に変えるようなことではないでしょう。

 今の教育にいろいろな歪みやひずみが出ているのはみんなわかっています。いじめ問題も未履修問題も学力低下問題も、それぞれにきちんと向き合って解決していかなければなりません。しかし、それは教育基本法に「愛国心」や「公共心」という文言を盛り込めば解決するわけではありません。そんな言葉ひとつで世の中の問題が解決すれば政治家も教育の専門家も必要ありません。

 いじめも未履修も今に始まったことではないのに、ここにきて一気にマスコミに噴出してきたのは、この教育基本法改正に向けてのスケジュールに乗っていたとしか思えません。誰かが仕掛けて、それにマスコミがうまうまと乗ってしまったのでしょう。

 しかもこの教育基本法の改正は、教育改革が狙いというよりは、改憲のための弾みをつけるスプリングボードとして安部内閣がとらえている節が感じられます。本丸はあくまでも改憲であり、そのためにまず戦後体制の根幹をなす教育基本法をぶっ壊してしまおうという意図がありありです。でなければ、いま拙速で教育基本法を変える意味がわかりません。自民党が圧倒的多数を維持している間にできることはどんどんやっちゃおうということでしょう。

 防衛庁を省に格上げし、NHKには放送「命令」を発し、愛国心を教えることを義務化し、核武装論議をし、そして9条を変えて軍隊を持ち海外派兵をできるようにする。ちょっと前なら自民党がここまで右傾化するなんて考えられませんでした。野党やマスコミがストップをかけるのはもちろん、自民党内でももう少し抑えがきいたものです。ところが小泉が自民党(のリベラル)をぶっ壊したせいで、今では誰も内閣の暴走を止められません。

 今やアメリカが北朝鮮を攻撃しないのなら、日本が自ら戦争を仕掛けて金正日を殺してしまいそうな勢いです。しかも、こうした威勢の良い、そして底の浅いナショナリズムに酔いしれているのは、昔は戦前の日本を懐かしむ大正生まれのオヤジ世代だったのに、今はむしろ20代30代の若い世代の方が目立つのがまた怖いところです。

 戦後民主主義と野球文化で育った世代がリベラルなのに、サッカーで抵抗なく日の丸をペインティングできる世代が右傾化していると考えるのは安易な類推に過ぎるのかも知れませんが、「サッカーW杯は国と国との戦争だ」って言いながら、やっぱり本当に戦争したらダメでしょう。

 9条を改憲したからと言ってすぐに戦争するわけではない、とか、核武装論議をしたからと言って現実に核を持つわけではない、とか。理屈の上ではそのとおりですが、「愛国心」と謳えば愛国心を国民が持つと信じている言霊の国・ニッポンでは、こうした言葉にすぐに酔い痴れる国民がウヨウヨいます。言葉に乗せられてこの国全体が大暴走したのは、まだたかだか60数年前のことです。勢いで突っ走らずにもっと頭を冷やした方が良いんじゃないですか?


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