高校の履修漏れ、内申書ごまかし行為はやはりかなり広く行われていたようです。全国的に広がっているだけではなく、始まった時期もすでに１９９０年代からということで、当時の高校生はすでに３０代になっています。つまりこんなことは当たり前であり、誰でもが知っていたということです。

　ここまで組織ぐるみとなると、当然責任を負うべきは高校生ではなく、高校であり教育委員会であり文部科学省であるということになります。みんなわかっていながら見逃していたわけですから。今さら「知らなかった」で済ませるような事ではありません。教育に携わっている大人がこんないい加減なごまかし、ルール違反をしていたことを、きちんとけじめをつけなければ、教育を語る資格なんかありません。

　ただ、だからと言って今の受験生の補講をやめてレポートかなんかで済ませようという政府が言い出している「救済案」も、姿勢としては同根ですから賛同できません。ちゃんと勉強をしなくてもカタチだけ整えればＯＫという「大人な対応」を高校生に認めてどうしようというのでしょうか？教育というのはまず「ルールを守る」ことを教えてくれなければ困ります。そうやって少しずつ社会に出ても通用する人間に育てていくわけですから。

　それにきちんとルールを守った高校生たちはどうなるのでしょう？彼らは「不必要」な授業もこれまで受けてきたのです。それをサボって受験勉強をしていた高校生に特典を認めて、真面目に受験に関係ない授業もしっかり学んだ高校生が損するなんて、どう考えてもおかしな話です。

　これまで得をしてきた高校生は、少々受験勉強の妨げになろうとも、きちんと「関係ない」授業を受けるべきです。それでやっと真面目な高校生とイーブンなんですから。