幹事クリタのコーカイ日誌2006

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8月10日 ● 30代後半独身男の生き方。

 何回もここで話題にしているドラマ『結婚できない男』。阿部寛演じる主人公の偏屈で独善的なところ、すぐに相手の痛いところを突いてしまう嫌味さ(本人にしてみれば素直な感情の吐露)、そしてプライドが高くすぐに薀蓄を偉そうに話すところなど、かなりデフォルメされてはいるけれど、いかにもいそうな40才独身男像を描いていて納得の造形です。

 ところがこのどうしようもない男がここにきて方向転換をしてきました。基本的なキャラクターは変わっていませんが、少しずつシフトチェンジしてきているのです。よく長所と短所は裏表と言いますが、まさにそういう演出によって主人公が可愛げがある実は「結構いい奴」化されはじめているのです。

 ドラマでは女医役の夏川結衣と最終的に結婚することになる前提で話が進んでいるのでしょう。だからエンディングに向けてそろそろ「悪」→「善」へとイメージを切り替えていかなければならないんですが、こちらはどうもこれでは納得がいきません。

 このドラマの見どころはカリカチュアされたこの主人公の強烈な個性であり、別に彼が矯正されて「結婚向き」の男に変貌していく様を見たいわけではないのです。むしろ、このキャラクターを徹底的に貫いて欲しいと思っているのに、どんどんひよっていくようで見ていて寂しい限りです。このままではせっかく新しい「結婚しない男女」をドラマで描いてきたのに、結局従来の「結婚することが何より幸せ」「男は結婚して一人前」的な旧来の価値観にとらわれていきそうであまり面白くありません。

 実際の30代後半の独身男はそんな良いものではありません。主人公のように外に向けて強烈なキャラクターをアピールする人こそ少ないですが、一歩内に入れば、やはりそれぞれが30代後半まで独身でいただけのことはある「何か」を持っています。僕は昔「35才独身男少々難あり説」を唱えていました。さすがに最近の晩婚化を見ていると例外も少しはあるかなと思いますが、基本的には何かあるから独身だというのは変わらないと思います。

 だってこれが結婚向きの性格なら、とっくにもう結婚しているはずだからです。周りの女性が結婚向きの良い男性をいつまでも放っておくわけありません。その年まで独身できたということは、その結婚に向かないある種の「欠陥」を周りの女性が見抜いて遠ざけてきたわけであり、それは年齢を重ねれば重ねるほど強く固まっていって、ますます結婚には向かない性格に純化していくものです。

 しかし、彼らは結婚には向かないかも知れませんが、そのエネルギーを他に振り向けることで新しい何かを生みだしていく存在かも知れません。そんな男たちの「結婚しない」新しい生き方を提示するのなら、このドラマも価値がありますが、結婚に向けて単に女性に飼い馴らされていくだけならとても残念です。もしそうなら、そんな男が結婚してみたけど「やっぱりダメ」だったというところまで描いてこそ完結だと思いますけどね。

 

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