幹事クリタのコーカイ日誌2006

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7月12日 ● 『サプリ』第1回。

 この夏の月9ドラマ『サプリ』。広告代理店に勤務するCMプランナー伊東美咲とバイトの亀梨和也が主役。原作は例によってコミックで、作者は博報堂に勤務していた女性CMプランナーだったそうです。僕は原作を読んでいませんが、そういう意味で「リアルさ」が売りのようですが、原作は知りませんがドラマはまったくリアルではありませんでした。

 これはいわば昔なつかしトレンディドラマの復活です。80年代の再現です。オシャレなオフィスにオシャレなお店、美男美女たちが繰り広げる恋愛模様。いやぁ、世の中の景気が(地方はともかく)東京では回復してきていることがわかります。チャラチャラ仕事しているんですねぇ。

 ただ当時との違いは仕事をするのが女で、それをじっと待つのが男というところ。24時間戦えますか、と言われていた80年代、21世紀は女が24時間働いています。男はというと、仕事をさぼってサーフィンに行って、その男のミスを女がフォローしてさらに働いて、そのせいで女は店で待たせている別の男に「もう耐えられない」とか言われて振られてしまったりするんです。ほんと、昔とは正反対です。

 仕事に疲れた女は年下男に翻弄されつつも癒されて、男から元気をもらってまた仕事に邁進する。そんな女を男は満足そうに微笑んで見つめる。「やっぱりあの人を支えてあげられるのは僕だけなんだ」なんて展開にこの先なっていきそうで、もう見ていて痒くて仕方ありません。

 トレンディドラマというのは基本的に20代の未婚女性をターゲットにしたドラマです。彼女たちにとって、いまリアルに夢見ている人生設計というのは、そういうことなんでしょうか?ヒルズ族をつかまえて「勝ち組セレブ」になるか、そうじゃなければバリバリ仕事して自己実現して年下の可愛い男の子に癒されるか。どっちにしても「ないない」と思いますが、文字通り少女マンガの延長上にあるドラマですからこれも仕方ありません。

 大人の男が見るにはそもそもつまらない設定ですが、ドラマとしてもちょっと粗が目立ちすぎて出来が悪い感じがします。亀梨を第二のキムタクに育てたいという下心はわかりますが、こんな脚本では無理。チャラチャラした外見だからこそ、真面目で純粋な役を与えた方が良いでしょう。伊東美咲も全然役柄に合っていないし、佐藤浩市がドラマの役柄と提供スポンサーのマークXのCMでの役柄が完全にシンクロしていて、「ちょい悪オヤジ」の典型を演じているのも背中がこそばゆくなります。

 ちなみに同じ業界の人間からすると、あのプレゼンではそりゃ負けるでしょと思います。企画もダメならスタッフもダメ、営業もなってない。そもそも今日入ったバイトに企画出させてどうする?しかもマーケもSPも媒体もいない。OOHもインタラクティブも提案しない。グラフィックだって作らずに10億のプレゼンをテレビCM1案だけ(しかも前日徹夜で作ったやっつけのようなビデオコンテ)で勝負するなんて、その蛮勇にクライアントは口あんぐりだと思います。10億全部テレビスポットか?きっと全部フジテレビでしょうね(広告業界専門用語をいちいち解説するのは面倒なので無視してください)。

 あんな仕事ぶりではプレゼンにKONISHIKIを連れてきたライバル代理店(実際にタレントを連れてプレゼンにいく手法はあります)に勝てなくて当たり前です。まあそういう意味では正しい展開だったから良いのかも。あれでプレゼンに勝っていたら、それこそ「ふざけるな」です。今後は素晴らしい企画でプレゼンに勝利するシーンも登場することでしょう。どんな企画が出てくるか楽しみです、って言うような目で見る分には笑えていいかも知れません。


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