幹事クリタのコーカイ日誌2006

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6月14日 ● サッカーはF1の二の舞になるか。

 日本代表惨敗から一夜明けて、世の中あちらこちらでサッカー談義が繰り広げられていたと思います。ジーコの采配を批判する人もいれば、オーストラリアの強さに驚く人、川口のスーパーセーブに感動していた人、逆に川口の判断ミスを嘆く人、これからのグループリーグの展望を語る人。視聴率も50%近くになったようですし、これほどまでにサッカーが人々の話題になること自体が驚きです。Jリーグが始まる前は、サッカーの話をしている人なんて本当にごく少数のマニアだけでしたから。

 しかし、ここまで人気を獲得したサッカーも、果たして未来永劫このままいけるのかと言うと、僕はかなり懐疑的です。今のサッカーブームは、かつてのF1ブームによく似ていて、あの頃は誰もがセナやプロストや中島悟や鈴木亜久里のことを話していました。今、誰もがベッカムやロナウジーニョや中田英や小野のことを語っているのと同じように。W杯のチケットを求めて右往左往する人々は、かつての日本GPのチケットを求めて奔走していた人たちとダブります。

 そして中島が引退しホンダが弱くなると一緒にF1ブームも去っていきました。いまF1の話をしているのは本当にモータースポーツが好きなマニアだけです。彼らはF1に限らずモータースポーツ全般を愛している人が大半です。しかし、ブームの時のF1ファンは、F1しか興味がなく他のモータースポーツには関心がない「底の浅い」ファンでした。言わばブームに乗っただけの人たちです。それが悪いと言うわけではありません。ただ「ブームは所詮ブーム」に過ぎないということです。

 いま騒いでいるサッカーファンはどうでしょう?F1よりはサッカーは根付いているというかも知れません。確かに裾野はF1の時よりもはるかに広がっていますが、それでも大半はW杯しか、もしくは日本代表の試合にしか興味がない人たちです。国内トップリーグのJリーグも見ないのに、日頃の生活の中にサッカーが溶け込んでいるとはとても思えません。

 サッカー好きの人は、よく野球と比較します。野球よりもサッカーの方が今や子どもたちに人気があるから将来性が高いんだ、という人がいます。果たして本当にそうでしょうか?W杯とWBCを比べたらW杯の方が関心度は高いかも知れません。しかしJリーグとプロ野球を比べたらサッカーは完敗です。高校サッカーと高校野球の人気度・注目度は天地の差があります。

 スポーツファンとしては、こんなことは本来比較して勝った負けたというべきことではないのですが、サッカー人気の危うさは、この足元の脆さだと僕は思います。本当のファンというのは、レベルに関わらずその競技を見続けるものです。僕のようなテニス好きは、ジュニアだろうが学生テニスだろうが草トーナメントであろうが、そこでプレーしていれば思わず見てしまいます。「Jリーグなんてレベルが低いから見てられないよ」なんて通ぶって言っている人間が本当にサッカーを愛しているとは僕にはとても思えません。

 今のままでは日本代表が弱くなってW杯に出られなくなったら、きっとサッカー人気はしぼんでいってしまうことでしょう。日本人はサッカーが好きなのではなく「強い日本代表」が好きなのですから、その対象はサッカーじゃなくてもバレーボールでも柔道でもフィギュアスケートでもカーリングでも良いのです。

 昨日も書いたように若手を起用せず未来につながらない今回の日本代表が惨敗することは、サッカー人気を暗転させるきっかけになりかねません。このままではF1の二の舞ですが、それを避けるには少なくともW杯に出場できるレベルの強さを維持し続けるしかありません。それはジーコの次の監督次第です。「ポスト・ジーコ」に向けてすでに協会は動いているらしいですが、ここで人選を誤ると大変なことになるでしょう。


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