幹事クリタのコーカイ日誌2006

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6月12日 ● ナダルの圧倒的かつ限定的な強さ。

 全仏オープンテニスの男子シングルス決勝。第1シードのロジャー・フェデラーと第2シードのラファエル・ナダルの対決になったこの試合は、フェデラーのグランドスラム連勝記録とナダルのクレーコート連勝記録の対決でもありましたが、大方の予想通り、クレーコートではやはりナダルが強かったという結果に終わりました。

 立ち上がりの第1セットはフェデラーが素晴らしい出来でした。自在に強打を打ち分けてナダルのカウンターを封じ込めていました。前哨戦のローマで惜敗した時に「負けたけどナダルとの戦い方はわかった」というコメント通り、フェデラーが6-1と圧倒したのですが、でも見ていて「このままナダルは終わらないだろう」とも思っていました。

 案の定第2セットに入るとナダルが押し始めます。と言うよりも、フェデラーのテニスの質が第1セットよりも明らかに下がりました。積極的な強打をせずにつないで凌ごうとしているだけ。それではナダルには勝てません。瞬く間にゲームを奪われて逆に6-1でナダル。

 第3セットに入るとフェデラーもまたペースを上げます。しかし、第1セットに比べてナダルのプレーは冴えていて、フェデラーの強打をことごとく切り返してきます。ナダル以外の相手ならエースになっているボールもナダルはラケットに当ててきます。ナダル以外の相手ならラケットに当てるのがやっとのボールをナダルは返してきます。そしてナダル以外の相手なら返すのがやっとというボールを、ナダルはカウンターでコントロールして切り返してきます。フェデラーは常に全力で仕留めにいき、しかもそれでもいつもより1本2本と手間がかかります。これはフェデラーにとってはこたえます。例えポイントが取れても簡単にゲームが取れないのです。

 どちらに転ぶともわからない第3セットの流れを最後に引き寄せたのはやはりナダルでした。6-4でナダルがとって、これでフェデラーは気落ちしたのか、第4セットに入っても流れはナダルのまま。5-3でナダルがリードした時にはもはやフェデラーもこれまでか、と思ったのですが、さすがに王者の意地、ここからフェデラーが盛り返してきます。特に5-4とナダルがリードしたナダルのサービスゲーム。あと2本でチャンピオンというところからフェデラーは素晴らしいラリーを見せてブレイクに成功しました。

 残念ながらフェデラーの抵抗もここまで。その後のタイブレークではナダルがフェデラーを上回り、結局セットカウント3-1でナダルが昨年に続き全仏2連覇を達成しました。これでクレーコートでは60連勝。驚異的な守備力を誇りながら恐ろしいほどに攻撃的なナダルのテニスは、明らかにフェデラーとは違ったスタイルで男子テニスのレベルを引き上げています。

 もっともナダルのこのテニスが次のウィンブルドンでも通用するかというと、これはちょっと苦しいところです。自らがもっとも得意としていて、なおかつフェデラーがもっとも苦手としているクレーコートでもこれだけ競り合うのですから、逆の立場になる芝の上ではとてもフェデラーにはかなわないでしょう。テニス界のライバル対決はやはりウィンブルドンこそが最高の舞台です。クレーコート限定では面白くありません。ナダルのテニスがさらに進化して芝にも対応できるようになった時こそ、真の意味でフェデラーのライバル足り得ることでしょう。


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