幹事クリタのコーカイ日誌2006

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4月21日 ● 新庄引退宣言の思惑。

 日本ハムの宇宙人・新庄剛志が引退を宣言して世間を驚かせました。なにせホームランを2本も打っておきながらそのヒーローインタービューで引退宣言、しかも開幕したばかりの4月にそれを発表してしまうところがいかにも新庄らしいです。

 引退を宣言した気持ちの裏には、足の故障と加齢によって自分の思うようなプレーができなくなったことと、札幌の新球団としてスタートした日ハムを地元に根付かせるために頑張ってきたのが、開幕戦で満員になったことで一区切りついたという思いが生まれたからのようです。

 新庄の気持ちはわかります。ボロボロになるまで現役にこだわるようなタイプではないだけに、晩節を汚さずまだ新庄らしいプレーができるうちに引退したいということでしょう。新庄に限らず余力を残して引退した選手はこれまでにもたくさんいましたから、それは不思議ではありません。

 ただこの時期にそれを突然発表したというのはかなりユニークです。もちろんこれも新庄ならではの計算があると思います。これで今年はずっと新庄人気で日ハム戦は常に盛り上がります。期間限定に弱いのは日本人の常。今年限りで新庄を見られなくなると思えば、お客さんも一層スタジアムに足を運んでくれることでしょう。古巣阪神と対戦する交流戦や、最後になるオールスター戦でも新庄はきっと話題の中心です。もし日ハムがプレーオフや日本シリーズに出場できたら、新庄フィーバーさえ起こりかねません。

 新庄は同じ引退するのならシーズン終盤に言うよりも、今年ずっと観客動員に貢献できるこの時期の方が球団にとってもお客さんにとってもプラスになると踏んだのだと思います。地元札幌のみならず全国どこの球場に行っても今年は「新庄サヨナラツアー」化することは間違いありません。

 日本では引退を発表したらすぐに試合に出なくなるのが慣習のようにあります。これは大相撲の影響(引退を発表したら即座に土俵を下りるルールです)なのかも知れませんが、興行ということを考えたら、特に人気のある選手は早めに引退を発表してお客さんに別れをたっぷり惜しむ時間を作った方が良いと思います。

 テニス選手でも引退するシーズンは早めに発表して、世界中を引退記念ツアーで回ることがあります。かつてステフィ・グラフが引退を発表した時に、サヨナラワールドツアーで世界を回った(途中で中止になったようですが)ことがありました。名古屋に来た時には僕もグラフと伊達公子のエキジビションマッチを見に行きました。興行ではありますが、ファンにとってもこうしたイベントは嬉しいはからいです。

 今回の新庄を先例として、今後人気選手は、開幕時に今年限りの引退を発表してくれると良いですが、もちろん難しい問題もあります。例えば楽天の野村監督あたりは、そんな発表をした直後からその選手を干してしまいそうです。監督としては来年を見据えたら引退寸前のベテラン選手よりも伸び盛りの若手を起用したいと考えるのは当然です。それを突破できるだけの実力があれば引退なんかしないでしょうし。そう考えると新庄はやはり新庄。彼ならではの特殊事例として考えた方が良いのかも知れません。


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