昨日はエイプリールフールだったのに、全く嘘をつきませんでした。と言うか、そもそもそんな日であることを日付が変わってから思いだしました。それほど僕にとってエイプリールフールというのは印象希薄な日になりつつあります。

　子どもの頃は結構４月１日は楽しみでした。「１年に一度だけ嘘をついても良い日」だと言われると、それはそれは魅力的に思われ、どんな嘘をついてやろうかと前日からずっと考えていました。人を傷つけるような嘘ではなく、笑わせるような嘘が良いとは知識として知っていても、実際にはそんな気持ちの良い嘘を考えつかずに、とにかく数で勝負とばかりにずっとくだらない嘘話を繰り広げていたような気もします。

　徐々にエイプリールフールが楽しみじゃなくなっていったのは、大人になるにつれて日常的に嘘をつく機会が増えてきたからだと思います。子どものころは「嘘をついちゃいけません」と教えられてそれを忠実に守っていたのですが、大人になると「嘘も方便」とばかりに、日常的に嘘をついているので「嘘をつくこと」に非日常的な気分をもう味わえないのです。

　大人の対応をするということは本音を覆ってしまうことですから、それができるようになればなるほど、「嘘をつく」ことに対する憧れはなくなりました。むしろ本当のことを洗いざらいぶちまけられる日があった方がどれだけスッキリすることでしょう。