日本がキューバを破って第１回のＷＢＣ（ワールド・ベースボール・クラシック）で優勝を遂げました。たださえ世界一というのは素晴らしいことなのに、それが記念すべき第１回大会での優勝国になったのですから、もし今後この大会が未来永劫ずっと続いていったら、とても誇らしいことだと思います。

　今回はとにかく日本に神風が吹いたような優勝でした。誤審でチームも国も結束し、さらにメキシコの奮闘により一度死んだところから甦ることができました。準決勝、決勝の２試合は実に充実したゲームでしたが、それも誤審と奇跡の復活による精神的な部分でのアドバンテージが大きかったからだと思います。

　日本にとっては結果的には大成功となったＷＢＣですが、主催者側のＭＬＢとしてはどう考えているのでしょう？彼らとしては優勝は当然アメリカでなければならず、決勝の相手もメジャーリーガーで固めたドミニカだと想定していことでしょう。

　ところが優勝はメジャーリーガーがイチローと大塚の２人しか参加していない日本。準優勝はメジャーリーガーが１人もいないアマチュア軍団キューバでした。結果だけ見れば明らかにＭＬＢとしては失敗ですし、これまで保ってきた「メジャー」の威厳はかなり落ちたと思っていいことでしょう。メジャーリーグも日本のプロ野球も、もしかしたら韓国のプロ野球もレベル的に大差ない（層の厚さはともかくトップの力量なら）ことも露呈してしまいました。これでは何のためにＭＬＢは大会を開催したのかわかりません。

　となると、第２回を予定している２００９年大会が本当に開催されるかどうも疑わしい気がします。日本では優勝したことで、一層次回も盛り上がるでしょうし、今回よりももっと多くのトップ選手たちが参加する可能性もありますが、逆にアメリカではもっと選手が離れていくことも考えられますし、そうなると大会への関心も薄れ興行的にも割が合わなくなるかも知れません。

　本当はサッカーのＷ杯のように「誰もが参加することに憧れる大会」に育てて欲しいのですが、ちょっと前途多難という気がします。