幹事クリタのコーカイ日誌2006

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3月16日 ● アジアの広告と日本の広告。

 どうも会社の関係者以外は(と言うか、会社の関係者ですらも)僕はタイに遊びに行ったのではないかと思っているようなので、改めて仕事で、出張で、タイに行ったということをはっきりと書いておきます。決して望んで行ったわけではないのです。ただ行った限りにはやはり前向きに楽しんでこないと損じゃん、というくらいの気持ちではありましたけどね。

 で、本来の目的はなんだったのかというと、「第9回アジア太平洋広告祭」というものに参加してくることでした。広告祭というのは映画祭と似たようなものだとおもってください。カンヌは映画祭で有名ですが、実は広告祭でも一番メジャーなのはカンヌです。アジア太平洋広告祭は「アドフェスト」と言って、アジアにおけるカンヌ広告祭的ポジションを目指して創設されたものです。

 広告の総出品点数はフィルム(テレビコマーシャルのこと)、プリント(印刷媒体、基本は新聞雑誌広告)、アウトドア(屋外広告、ポスターなど)、インタラクティブ(Web広告、バナーなど)を合わせて約5000点にものぼり、それぞれの部門ごとにグランプリ、ゴールド、シルバー、ブロンズの賞が制作者に贈られます。僕はもちろん受賞するようなメジャーリーグ級クリエーターではありませんから、単に見に行っただけですが、それでも5000点もの広告を3日間で見るのはかなりの苦行です。しかも出品作は基本的に全て英語がスタンダードなので、正直言って理解するのが大変。英語が仮にわかったとしても、教科書のような英文が書いてあるわけではないですから、その意味を推し量るのがまた一苦労です。

 ところで、このアドフェストにおいて日本はインタラクティブこそ圧倒的な強さを誇っていましたが、フィルムで獲得した「金」はゼロ、プリントにいたっては金銀銅全てゼロ。辛うじてアウトドアでグランプリを1個獲得することができました。惨憺たる状況です。強いのは何と言ってもタイとオーストラリア、ニュージーランド、次いでインド、シンガポールあたりで、中国や韓国もかなり苦戦していました。

 原因はいろいろ考えられますが、やはり漢字の文化圏と英語の文化圏では明らかに「前提」が違うというか、広告に対する発想自体が異なります。まるで異種格闘技戦をやっているようなもので、その中で審査員は英語圏的基準でジャッジをするので、当然結果に差がついてしまいます。「カンヌ」を目指して作られた広告祭だけに、審査基準も入賞作品も「ミニカンヌ」化していて、これのどこが「アジア」なのかなと思ってしまいました。

 もちろんグランプリやゴールドを獲得した作品はフィルムもプリントもアイデアとインパクトのあるものばかりで、洋の東西を問わず受けることは間違いありません。ただアイデアとか強さとかはあっても、テイストがとても日本の社会には合わないだろうというものも多く、国際広告祭で入賞したような広告が実際に日本で作ることができるかというと、ビジネスの現場ではいろいろな障壁があるだろうなぁと思ってしまいます。

 僕が遊びに行って来たわけではないことは、こういう内容をもっときちんとまとめて、今月末に名古屋の広告業協会の席上でレポートを発表しなければならないことからもわかります。いま懸命にパワーポイントでプレゼンテーション用の資料作っているんですから。あー大変だ大変だ。


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