タイの話をまだ書くつもりだったのですが、ＷＢＣの方も気になっているので、今日はそちらのことを。今回のアメリカ戦での疑惑の判定ですが、いろいろな問題を含んでいることはすでにあちらこちらで取り上げられています。

　すなわちまず第一に一度下されたジャッジを主審が覆したこと。第二にその主審よりも近くで見ていた塁審がいたのにそれを覆したこと。第三にそもそもあの離塁は正当でありジャッジそのものが誤審であること。第四にその主審がマイナーリーグの審判で技量的に劣っていること。第五に第三国の審判を起用すべきであるのに、ホームで自国の審判では全く公正さが保たれていないこと。

　これら全ての問題は、やはりＷＢＣが第１回の開催であり、まだまだルールが確立していない段階での見切り発車だったこと、さらに言えば真剣勝負と言うよりは、メジャーリーグ主催の「興行」であることが原因になっていると思います。多くのメジャーのプレーヤーがシーズンへの影響を考えて出場辞退しているのも、ＷＢＣが「花試合」であることを認識しているからです。

　これは歴史がない大会では仕方ないし、「まずやってみよう」というところから始めているのですから、ある程度のトラブルが起きるのは無理からぬことだとも思います。こうしたトラブルが起きるからこそ、ルールと言うのは手直しをされて洗練されていくのですから。今回はたまたま日本とアメリカの試合で起こった事件だからこそマスコミも大きく取り上げていますが、仮にメキシコと韓国の試合だったら「そんなこともあったらしいよ」程度の認識だったでしょう。

　またサッカーＷ杯と比較して「だから野球は遅れているんだ」的な発言をしているサッカー贔屓の人間がいますが、日韓Ｗ杯の時の韓国戦の審判は今回とは比較にならないくらいひどいものでした。そもそもサッカーの歴史なんて誤審の歴史というか、マラドーナの「神の手」に代表されるように、選手がいかに審判をごまかすかを競い合っているようなものですから、まだ野球の方がフェアだと思います。それがサッカーの「文化」なのですから、野球と比較しての善悪とか優劣の問題ではありません。

　それよりも、今後の展開の方に興味があります。アメリカは１次リーグでも大して強いとも思えないカナダに負けて、２次リーグでも日本にはラッキー（？）で勝ちましたが、韓国には惨敗しました。つまりそもそもアメリカは弱いのです。となると、日本の当面の敵は間違いなく韓国です。１次リーグで惜敗した借りを返すというだけではなく、日本としてはそもそも残る２試合を連勝しなければ準決勝への道は開けてきません。メキシコももちろん難敵ですが、いま乗りに乗っている韓国に勝つのはかなり至難です。

　日本に有利な点は、韓国に負け、そして今回またアメリカにこういう納得できない形で負けたことで、二重に悔しさが募っていて、気合いがかなり入っていることです。チームとしてもまとまってくるだろうし、関心の薄かったマスコミや国民も一気にナショナリズムを刺激されて盛り上がってきました。こうなると２勝してしまって少し安心している韓国よりも、気持ちの面では優勢に立てるのではないかと思います。

　ただアメリカが韓国にボロ負けしたことで、もし２勝１敗で日韓米が並んだ時には、日本と韓国が準決勝に進出する可能性が高くなりました。そうすると準決勝はこの大会３回目の日韓対決になります。これは韓国もヒートアップしてくるので必死ですし、気合いでは他のスポーツの日韓戦同様に押される可能性が大です。もっともそんな心配は、まず目の前のメキシコに勝ってからすることですけどね。松坂先発らしいけど大丈夫かなぁ。