幹事クリタのコーカイ日誌2006

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2月5日 ● ヒンギスがシャラポワに圧勝。

 世界中のテニスファンの目が東京体育館に集まった東レパンパシフィックオープン準決勝、マルチナ・ヒンギスvsマリア・シャラポワ戦。かつて天才少女と知られカムバックしてきた旧女王の25才と、恐らくテニス史上もっとも有名になった実力と人気を兼備した18才。ヒンギスは復帰以来常に「一番戦いたいのはシャラポワ」と言い続けてきました。

 全豪オープンでは実現しなかった対戦が東京で実現したのは偶然ではありません。なにせヒンギスもシャラポワも日本はことのほか相性がよく無敵。今回二人とも順調に勝ち上がったのは当然と言えば当然でした。

 試合は当初は互角の戦いでした。ヒンギスの技とシャラポワの力。全く拮抗していましたが、序盤から自分のテニスをしっかりできていたのはヒンギスでした。そして第1セット第8ゲームにブレイクチャンスをものにしたヒンギスがそのままセットを奪いました。

 試合はこれでますます面白くなるだろうと思われました。なにせディフェンディングチャンピオンのシャラポワ相手では、いかなヒンギスといえども苦戦は免れないと予想されていたからです。復帰後のヒンギスはランキング20位台の選手には勝てても、TOP10選手であるエナンとクライシュテルスには負けていました。このベルギー人たちに劣らないパワーとファイトの持ち主であるシャラポワにも勝てる可能性は低いと見るのが普通です。

 しかし、ヒンギスはやはり「普通」とか「常識」では計り知れない才能の持ち主でした。2セット目に入ってますますヒンギスの展開の速いテニスが冴え渡ります。シャラポワがいくらベースライン近くに鋭いショットを放っても、ヒンギスはいとも軽々とそれをライジング、というよりもほとんどハーフボレーの状態でで打ち返します。それもただ返すのではなく、球種やコースを巧みに変えてシャラポワの予想を覆していきます。

 少しずつ焦りの色が濃くなるシャラポワは気合が空回り。ミスが増えていきます。それはシャラポワのせいではなく、ヒンギスのせいです。ヒンギスのテニスが若いシャラポワに経験したことのないプレッシャーをかけ続けミスを引き出すのです。結果第2セットはヒンギスが6ゲーム連取してあっさり勝利を得ました。天才ヒンギスの完全復活を世界に知らしめた瞬間でした。

 ヒンギスはその全盛期にウィリアムズ姉妹やダベンポートのパワーテニスに圧倒されて故障を起こしリタイアに追い込まれました。引退同然に休んでいる間に女子テニスのパワー化はさらに進み、その最先端をいくのがシャラポワです。ヒンギス復帰の報に対し、ほとんどのテニスメディアが懐疑的だったのは、休んでいたヒンギスが「今の」パワーテニスに対抗しうるはずがないと思ったからです。

 しかし、ヒンギスは彼女の全盛期を上回るパフォーマンスを見せつけました。パワーテニスに完全にアジャストして復活してきたのです。彼女は山篭りをしていたわけでも虎の穴に入っていたわけでもありません。この3年は遊んだりスポンサー絡みのテニスイベントに参加したりしながら過ごしていたのです。それなのにこんなカタチで復帰するとは恐ろしいまでの才能だと思わないではいられません。いったいどうやったらこんなに進化することができるのでしょう?

 これで女子テニス界はますます面白くなりました。かつてナブラチロワやウィリアムズ姉妹のように、それまでのテニスの常識を覆すような選手が登場することで女子テニスはレベルをそのたびに大きく上げました。ヒンギスがパワーテニスにテクニックで対抗することで、ますますパワー派の選手たちもレベルアップしなければならなくなります。テニスファンにとっては目が離せないシーズンになりそうです。


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