今クールは結局最後まで見続けたドラマは『危険なアネキ』だけでした。それも特に気合いを入れていたわけではなく、何となく他に見るものがないから見ていただけで、残念ながらつまらないクールだったなと思います。

　さて１月からの新ドラマですが、今クールが低調だっただけに期待したいところ。まず一番手はフジ系月曜夜９時『西遊記』。なんと月９に西遊記！恋愛ドラマ枠というイメージからは随分と外れています。むしろ西遊記なら日テレ土曜９時でしょって感じ。孫悟空に香取慎吾、三蔵法師に深津絵里、沙悟浄に内村光良、猪八戒に伊藤淳史と主演級を揃えました。オーストラリアロケを敢行したとか、かなり大がかりで予算をかけているようですから映像もそれなりに期待できそうですが、問題は果たして月９の客層に合うかどうか。

　また僕のような古いファンには堺正章＝孫悟空、夏目雅子＝三蔵法師の日本テレビ版『西遊記』のイメージが強いので、あれを超えられないとなぁ、という気がしてしまいます。あの時のキャスティング（猪八戒＝西田敏行→左とん平、沙悟浄＝岸部シロー）は絶妙でした。とりあえず今回も注目しているので見ますけど。

　次にフジ系火曜夜９時『Ｎ’ｓあおい』。人気コミックのドラマ化ですが、この枠で医療ドラマとなると『救命病棟２４時』を思い出します。キャストに石原さとみ、柳葉敏郎、杉田かおる、八島智人、西村雅彦、片平なぎさと豪華とまではいかないけれど曲者を揃えていて、脚本も吉田智子と期待できます。最初は見るかな。

　コミック原作、病院モノという点がかぶっているのがフジ系木曜夜１０時『小早川伸木の恋』。主役に唐沢寿明。こちらも同じ枠だった『白い巨塔』と同じく唐沢が敏腕外科医の役ですが、今回は出世欲もない温厚な良い人。共演に藤木直人、谷原章介、片瀬那奈、紺野まひる、大泉洋。紺野以外はフジドラマ御用達と言って良いようなメンバーですが、それだけにちょっと力が入っていない感が漂うキャスティング。大人のモヤモヤした恋愛人間関係ドラマはあまり興味がないので多分パスです。

　ＴＢＳ系の注目は日曜夜９時『輪舞曲・ロンド』。韓流ブームに乗った日韓共同ドラマで主演に竹野内豊、チェ・ジウ。脇に木村佳乃、速水もこみち、佐藤隆太、市川由衣、イ・ジョンヒョン、シン・ヒョンジュン。かなり気合いが入ったサスペンスのようですが、どこまで韓流テイストを取り入れるかが成否の鍵を握ると思います。やり過ぎるとそっぽを向かれるかも知れませんが、それでもある程度やらないと折角の「ジウ姫」が生きません。

　ＴＢＳ系木曜夜９時もミステリーで東野圭吾原作の『白夜行』。主演は山田孝之＆綾瀬はるかの「セカチュー」コンビ。脇に渡部篤郎、武田鉄矢、余貴美子、八千草薫、柏原崇とこちはもいかにもＴＢＳテイスト。原作の人気を生かせるかどうか。

　マニアックな人気を呼ぶかもと思わせるのがフジ系火曜夜１０時『アンフェア』。検挙率ナンバー１の女性刑事が連続殺人事件を追うミステリー。原作は秦建日子、脚本佐藤嗣麻子。主演に篠原涼子。脇に瑛太、阿部サダヲ、濱田マリ、加藤雅也、木村多江、寺島進、香川照之、西島秀俊とドラマ通が好きそうな癖のある役者が並んでいます。

　おバカ系ドラマでは定評のある日テレ系土曜夜９時は『喰いタン』。同じミステリーでもやはり他局とは一味違います。コミック原作で大食いの探偵がその特技を生かして謎解き。主演に東山紀之、共演に森田剛、佐野史郎、伊東四郎。原作よりもカッコいい東山がどれだけコミカルに演じられるかが見ものかも。

　こう並べてくると、各局ともミステリーが多く、特にＴＢＳは客を食い合ってしまいそうです。ミステリーは連続ドラマではよほどパワーがないと最後まで視聴者を引っ張っていけません。一度見逃したらもう見てくれませんからね。

　その点、ここで月９に『西遊記』をもってきたフジテレビ編成の企画勝ちかも。ジャニーズ勢も『西遊記』以外は『喰いタン』だけですから、プロモーションも大々的に行えるでしょうし、少なくとも視聴率的には結構いきそうな気がします。