幹事クリタのコーカイ日誌2005

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11月19日 ● 名古屋都心で右翼襲撃。

 会社の近くにある交差点角のビルを愛知県警が24時間体制で警備するようになったのは小泉首相が靖国参拝した直後からでした。連日防弾チョッキを着た警官がものものしい感じでビルの周囲を固めているし、警察のクルマが何台も常時駐車して見張っています。道行く人はみな興味津々。とは言うものの、うちの会社の隣の隣のビルだけに何か事件がおきて巻き込まれたらイヤだなぁと思っていました。

 いったい何があってそのビルを警備しているのかがわかりません。そのビルは地元ではちょっと有名な教育出版社のビルで、その中に某私立大学の大学院のサテライトキャンパスもありますが、出版社は受験教育のための出版物しか出していないので左翼系でも右翼系でもないと思うし、まして大学がトラブルに巻き込まれるとは考えにくいので、何のための厳戒な警備か、いろいろな噂が立っていました。

 曰く、暴力団の事務所があって抗争が勃発している、曰く左翼系団体の事務所があって爆破予告があった、曰く中国領事館が入っていて右翼が狙っている、などなど。諸説はあるのですが、外からビルのどこを眺めても出版社と大学院以外の看板は出ていませんから、結局何が何だかわかりません。

 毎日毎日ビルの横を通りながら、いまこの瞬間に抗争が起きて流れ弾に当たって死んだりして、とか、いきなりビルが爆破されてガラスが上から降ってきたりして、とかついつい怖いことを考えてしまいます。防弾チョッキを着ている警官が立っているということは、やっぱり銃を持って押しかけるような奴が襲撃してくるんだろうなと思っていました。

 そうして随分日が経って、そろそろものものしい警備にも少し馴染んできてしまった昨日、いきなり事件が起きていました。右翼の街宣車が来て何か叫んでいるのはオフィスにいてもわかりました。ランチのために外に出て、そのビルの前を通りかかったら、黄色いテープが張り巡らされていてそのビルの玄関周辺は立ち入り禁止になっています。警官がたくさん来ています。「あれ、なにか起きたな」とすぐにわかりました。

 ランチの帰りに再び通りかかったら、もっと人が増えていました。警察だけではなく新聞やテレビのマスコミ関係に加わって、右翼らしき人までがカメラを持って現場の写真を撮影していました。私服の刑事らしい人も鋭い視線を飛ばして周りを見張っています。

 おお、こりゃいよいよ報道されるぞ、ようやくどういう事件なのかわかるなと思って夕刊を見たら、やはり噂どおりにそこは中国領事館でした。10月からそのビルに入居していてビザの発給を始めたばかりだそうです。そこへ右翼を名乗る男が消火器を持って乗り込んできて消火器を噴射したんだとか。

 騒いでいたにしては、消火器かよ、というガックリ半分、でも大したことがなくて安堵半分の気持ちでした。それにしても中国領事館はどうしてこんな都心のビルに入居するんでしょう?出版社もこうしたトラブルは予想できただろうに、よく領事館に貸したものです。

 かつて広瀬隆が『東京に原発を!』と言う本を書いて話題を呼びましたが、近所の人間としてはちょっとそれに近い気分です。もっとも、こうして中国領事館が嫌われて追いやられること自体が右翼の狙いなんでしょうから、領事館出ていけ!とも思っていませんけどね。悪いのはもちろんこんな低レベルの暴力に訴える右翼の方ですから。

 それにもし本当に爆破事件でも起きて誰か巻き込まれてしまったら、恨むのは中国?いや恐らくは直接事件を引き起こした右翼であり、さらに靖国参拝という揉め事の原因を作った小泉首相を恨むでしょう。まあ右翼にしてみれば米国べったりの小泉も決して認めてはいないようですから、小泉が恨まれても構わないでしょうけど、やはりもう少し右翼もやり方というものを考えた方が良いんじゃないですかね?「右翼怖い」という一般への刷り込みは、結局保守的勢力に対する反感に繋がるだけですから、彼らの行動は自分たちの首を絞めているようにしか思えません。

 事件後、警察はいっそうものものしい警備ぶりでした。我々にはまだ当分安寧な日々は訪れないようです。


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