幹事クリタのコーカイ日誌2005

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7月9日 ● 『電車男』第1回。

 映画化されマンガ化されてもう使い尽くされている「電車男」がドラマになりました。ドラマ化のポイントは「エルメスの視点から見た電車男」という話だったのですが、実際に第1回を見たら嘘ばっかり。やっぱり電車男から見た「電車男」でした。

 まあエルメス役に伊東美咲をもってきた以上、彼女が主役でなければ事務所が納得しないし、他メディアとの差別化を図るためにも「エルメス主役」という企画書が必要だったんでしょうが、どう頑張ったって電車男と2ちゃんねるの住人の交流が物語の主要な筋立てである以上、エルメス視点なんてあり得ません。企画書を通すためのプロデューサーの苦肉の策だったことがよくわかりました。

 さて、ドラマの『電車男』のポイントはエルメスよりも「オタク」のリアルな描き方にあります。はっきり言って、リアル過ぎて普通の視聴者は「どん引き」です。あんなオタクを相手にどうしてエルメスのような美女が好意を持つのか、そこのところのリアリティが全く感じられません。オタクのリアリティを追求した結果、物語のリアリティは薄れてしまったというところです。

 そもそも「電車男」のストーリーは「逆少女マンガ」だと考えられます。少女マンガでは「ちびでそばかすだらけのドジな主人公」がなぜか「美人で才能もあるお嬢様」を差し置いて「カッコ良くて優しい王子様」に恋をされてしまうのです。女性読者はみんな平凡な主人公に自分を投影してマンガを読んでうっとりするわけです。男の目から見たら、どう考えたってお嬢様の美女の方が魅力的なはずなのに。

 それの逆パターンが「電車男」で、年齢=彼女いない歴のオタクくんが、なぜか高嶺の花である女性に好意を持たれてしまうという「あり得ない」妄想ラブストーリーです。同じような「モテないくん」が見れば「よし、オレだって」と勇気が湧いてくる(それは勘違いだと誰か言ってやってください)わけですが、女性から見たら「信じられない」展開だと思います。

 映画のようにそれを山田孝之が演じればまだ「磨けば光る」という説得力が生まれるのですが、チビノリダーでは無理。挙げ句に相手が伊東美咲で、しかも彼氏がいる設定では絶対無理。エルメスは天然系お嬢様で男性経験が少ないからこそ、電車男に「勘違い」できるわけで、ちゃんとした彼氏がいたらあんな冴えないオタクに引っかかるわけがありません。

 そんなわけで、ドラマ『電車男』は凝りすぎて危ういのではないかと第1回を見て思いました。少なくとも一般のドラマ好き女性視聴者は取り込めないことでしょう。ただ世の中には「アキバ系女子」も最近は多いようですから、そういう層が見てくれればそこそこ成功できるのかも。ちなみに僕はラブストーリーではなく、オタクのリアルな生態を描くドラマとして楽しめましたけどね。


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