幹事クリタのコーカイ日誌2005

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6月28日 ● 「観」と「感」の違い。

 先日あるマンガを読んでいたら「価値感」という言葉が出てきました。あれ、価値「感」?価値「観」だろ?と思って、調べてみたらこんな解説がありました。なるほど、やはり最近間違えている人が多いようです。

 「観」とは見解や解釈であり、「価値観」とはその人なりの解釈で総合的主体的に価値を判断することです。「価値感」では単にモノの価値についての感覚という程度の意味にしかなりません。若い人がよく使う「価値感」が違う、というのは、お金をどこにかけるかという趣味の違いという程度の意味しかありません。本当の「価値観」とはもっと奥深い「生き方」にまで関わるものです。

 また最近、身体感覚を重視する風潮というか、頭で考えた理屈よりも身体で感じる直感を大事にしたいという考え方の人が、特に若い層で増えてきた気がします。それが「価値観」を「価値感」と書く誤用の増加につながっているのでしょう。

 確かに理屈を突き詰めて「正しいやり方」「こうあるべき方向性」なんてものに囚われ過ぎると、いつの間にかねじ曲がって変な向きに突っ走っていても気づかないことがあります。そんな時に「なにかおかしいぞ」「すっきりしない」と感じた直感を大事にして方向修正を図ることは大切だと思います。

 しかし、考えることをやめて「感」だけに頼るのは、理性の放棄です。考えるのが面倒くさい、もしくはそもそも考える力がないためにあえて目を逸らして直感に頼っているだけ。自分の直感を信じて行動すると言うと何となくもっともらしいですが、その直感が正しいかどうかは実は全く当てになりません。

 ベテランの直感が間違わないのは、さまざまな経験を積み勉強もして、ついには過去の体験から考えなくても正解に瞬時に辿り着けるようになったからです。経験不足、勉強不足の若者の直感は単なる山「勘」に過ぎません。裏打ちがない「感」頼みは失敗の元です。

 もちろんその「感」すらないのは困りますが、それをさらに「観」にまで深めていくことこそが成長すること、成熟していくことであり、それを大事にしていかないことには、本当の価値観を持つことはできません。

 よく言葉は生き物で、誤用も一般に浸透すれば誤用ではなくなると言いますが、願わくば価値観は価値「観」のままであって欲しいなと思います。


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