幹事クリタのコーカイ日誌2005

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4月16日 ● 西田敏行の落語。

 期待の新ドラマ『タイガー&ドラゴン』がスタートしました。クドカンワールド炸裂で第1回からぐいぐいと引き込まれて見てしまいました。毎回古典落語を題材にして、それをうまく現代のドラマに結びつけていく形式をとるようで、いわば古典落語を現代話にアレンジした新作落語を毎回やっていくわけです。

 今回は「芝浜」が題材で、それをうまくまとめたなぁと感心しました。三谷幸喜にも通じるような「才気」を感じさせる作品です。もっとも古典落語を知らないと面白さも半分とまではいきませんが、3分の2くらいのような気がしますけど。

 ところでこのドラマでは西田敏行が落語の名人、岡田准一が落語の天才という設定になっていて、二人とも落語を話しているシーンが登場します。岡田は高座に上がって話すわけではないのでまだしも、西田敏行は完全に落語家として高座で演じなくてはならないので大変です。

 もちろん芸達者な西田のことですから、破綻なく落語家を演じているわけですが、どうも僕にはその高座姿はあくまでも「落語家」を演じているだけで、「落語」を話しているようには思えないのです。だから西田の落語はドラマで聴いている限りでは面白いなんて全然思えません。

 例えば『エースをねらえ!』のようなスポーツドラマの場合、いくら出演者たちのテニスが下手でも「ドラマだから」と笑って見てられます。アメリカのスポーツ映画はかなり本格的なスポーツシーンが登場して感心しますが、日本の場合はドラマであれ映画であれ、スポーツをきちんと見せてくれることなんて最初から期待していません。

 ところが落語というのはスポーツと違って同じ芸能というジャンルで近いだけに、ついつい「本物」としての完成度の高さを期待してしまいます。西田敏行の落語は演技としてはかなり完成度が高く大したもんだと思えるのですが、それだけについつい「落語」として聴いてしまうのです。だから「面白くない落語だな」なんて感想も生じることになってしまいます。

 もしかしたら西田の役を本物の名人落語家がやれば良かったのかも知れません。でもこのドラマでは鶴瓶がヤクザの親分として出ていますが、これは敢えて落語家の役ではないところが面白いわけで、そういう意味ではやはり西田敏行が正解なのかも。

 それにいま落語家をキャスティングしようにも、ちょうど年齢的にぴったりの名人なんて思いつかないし。志ん朝は死んでしまったし、談志は役柄に合わないし、小朝では若すぎるし、円楽ではじじ臭過ぎるし。かつての金語楼なんかぴったりだけどなぁ、なんて、誰が今どき金語楼知ってるんだよ、死んだのは昭和47年だぞ。イメージはやはり小さんかな。生きてればね。


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