幹事クリタのコーカイ日誌2005

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3月16日 ● スーパーのブランド服。

 いま服を買いに行くと本当に二極分化しているのがわかります。ひとつは高級ブランド路線で、名古屋のデパートや続々オープンするブランドショップの路面店は、こんな高い服にどうしてそんなに人が群がっているのかと思うほど賑わっています。もうひとつは超格安路線で、かつてのユニクロやGAPの人気が落ち着いたとは言え、相変わらず中国で生産されて続々と日本に入ってくるとんでもなく安い服がスーパーには溢れています。

 ただこの超格安路線はどうも苦戦しているようで、スーパーの勝ち組と言われ、元々衣料品が得意分野だったイオンやイトーヨーカ堂でさえ売り上げは落ち続けていますし、ダイエーなどは衣料品を切り捨てて食品スーパーへとシフトしています。

 僕もそうですが、一時はそのあまりの安さに目が眩んでいろいろ買い込んだ客も、しばらく着ているうちにだんだん不満を覚えてきます。所詮身はひとつですから、いくらたくさん服を買ってもそんなに一度に着られません。だったら気に入った服を「着倒す」方が気持ち良くて合理的だと思い直し始めたのが、最近のスーパーの衣料品不調の原因でしょう。

 で、そんな反省からか、イトーヨーカ堂は先月から「Deux+(ドゥ・プリュス)」という新ブランドを立ち上げました。企画から生産・販売まで全て問屋を通さずに一貫してイトーヨーカ堂が行う「GAP・ユニクロ型」で、神奈川の大和鶴間店を皮切りに現在関東で4店舗、将来的には3年間で全国30店舗程度を想定しているそうです。

 この新ブランドが話題になっているのは、デザイナーに「コム・デ・ギャルソンオム」のデザイナーだった芦澤伸二を起用したこと。さらにチーフMDには「ユナイテッドアローズ」のMD責任者だった山本浩二を起用して、ギャルソン&アローズという豪華タッグでこれまでのスーパーの衣料とは一線を画そうという試みのようです。

 サイトで見る限りは価格もそこそこで、これくらいならスーパーの衣料には飽き足らず、かと言って高級ブランドには手が出ないボリューム層を取り込めるかもという気がしますが、ポイントになるのはその品質とイメージ戦略。

 これを「ギャルソンレベルの服をリーズナブルな価格で」という風に捉えてもらえればいいでしょうが、「イトーヨーカ堂の服にギャルソン風味を加えて高くした」と思われてしまったら逆効果です。

 なにせ別に川久保玲(コム・デ・ギャルソンの設立者)がデザインしているわけではないですし、ギャルソンの看板を掲げられるわけでもありません。あくまでもギャルソンにいたデザイナーが作るだけ。しかも、最初に価格ありきで作れば、いくら量産効果があるとは言え、低価格で品質を上げるにも限度があることでしょう。何より服は「気分で着る」部分が大きいので、「さすがギャルソンのデザイナー」という看板と、「所詮イトーヨーカ堂の服」という看板のどちらが勝つかで勝負は決まると思います。

 僕としては本家のギャルソンは不当に高いのではないかとつい思ってしまいますから、この「Deux+」が成功して、同じようなリーズナブルな“スーパーブランド”が他にも出てきてくれないかなと願っていますが。


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