幹事クリタのコーカイ日誌2005

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3月5日 ● 関西弁と音調。

 関西出身の人は、しばしば「その関西弁気持ち悪い」と言います。テレビに出演している関西芸人に影響されたり、しばらく関西に住んでいたりして影響された非関西出身者の関西弁についての非難です。せっかく自分たちの文化圏の言葉を使ってくれているのに、なんて心が狭い指摘をするんだ、などと正直僕は思いますが(たどたどしくても自分たちの言葉を使ってくれる人には普通好感を示すものでしょう)、関西人のそういう過剰な「自意識」は今に始まったことではないので置いといて、なぜそんなに「気持ち悪いわぁ」と言うのか不思議でした。

 その謎が少し解けたのが昨日放送されたNHK教育テレビの『日本語なるほど塾』。3月のテーマは「関西語」ということで、司会の山根アナ相手に、嘉門達夫と山下好孝(北海道大学留学生センター助教授)が、関西弁の指導をするという番組です。

 番組の内容は山下助教授の著書『関西弁講義』をベースにして進められていくようなのですが、昨晩の内容で興味深かったのは、関西弁の「音調」。関西弁には中国語の四声のような音調があって、単語によって全て音の高低が決まっているということでした。例えば「口」という単語は常に高く発音しなければならなくて、それを間違えてしまうとネイティブ関西人は「気持ち悪い」と感じるようなのです。

 番組中で山根アナも驚いていましたが、非関西人にしてみれば、全ての単語の音調を覚えることなど不可能に近いことだと感じます。もっとも、だからこそ逆に関西人はいつまでたってもどこへ行っても関西弁しか喋らないのかなとも思いましたけど。番組の中で嘉門達夫が標準語と称して宮沢賢治の詩を朗読していましたが、標準語と呼ぶには微妙に違うなと感じましたから。山根アナの発音が極めてクリアで美しいだけに、余計に嘉門の微妙な関西イントネーション及び関西弁特有の母音を強める発音が気になりました。

 ただ、こうした特徴があるからと言って、なにも関西弁だけが特別な言語というわけでもありません。名古屋弁にも博多弁にも山形弁にも、それぞれ際立った特徴があって、だからこそ「お国言葉」は嬉し懐かしなわけです。名古屋弁の標準語にはない母音の多さなども、極めて特徴的だと思います。この母音の聞き分けはネイティブ名古屋人でないと難しいかもしれんがね。

 ただまあ番組中で山下先生が言っていましたが、関西弁の文化圏には約2000万人が住んでいますから、その人口パワーを背景にしてよく取り上げられるということは仕方ないでしょう。それに自分のお国言葉を愛する姿勢というのは好ましいものだと思いますし。ちょっと耳障りなくらいうるさいのが難ですけど。


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