幹事クリタのコーカイ日誌2005

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3月1日 ● タバコ1箱千円時代。

 昨日の朝日新聞が社説でタバコは「1箱千円だっていい」と掲げていました。WHO(世界保健機関)が主導した「タバコ規制枠組み条約」が27日に発効されたことを受けてのものです。今さら朝日新聞に言われるまでもなく、以前からタバコの適正価格というのは論じられていて、例えばこちらとかこちらを見ていただけるとわかるように、だいたい1箱千円前後が妥当ではないかと言われてきています。

 1箱千円というのは、タバコの消費量を減らすことで、健康増進を図り、医療費などの損失を減らすとともに、税率を上げることで税収は変わらない(もしくは増える)という一石三鳥の効果があるわけです。もちろん僕のようなタバコ嫌いには「さっさとやれ〜」という話ですが、愛煙家にしてみれば「冗談じゃない」と怒髪天を衝くような思いでしょう。これ以上我々をいじめるな、という怨嗟の声が聞こえてきそうです。

 しかし、これまでは1箱千円なんて話は非現実的だと言われていたのですが、朝日新聞の社説で真面目に取り上げられるところまで現実は進んできました。昨年施行された健康増進法の後押しも大きいでしょう。うちの会社でもかなり禁煙化が進み、基本的にはオフィスではタバコを吸えなくなりました(残念ながら会議室に隠れて吸っている人がまだまだいますが)。

 さらに名古屋市でも遅ればせながら「路上禁煙地区の指定」(歩きタバコだけではなく立ち止まっての喫煙も禁止)が3月17日から実施されます。名古屋の繁華街である名古屋駅地区、栄地区、金山地区、藤が丘地区の4ヶ所が指定されていますが、恐らく様子を見ながら今後はもっとこの指定地区を広げていくことでしょう。飲み屋の多い今池とか、学生とファミリーが混在する本山、星ヶ丘、八事もぜひ指定して欲しいと思います。

 なにせ歩きタバコの危険性というのは半端なものではありません。特に小さい子どもを持つ親なら、子どもの顔の辺りに火のついたタバコがニアミスして「ヒヤッ」とした経験をしたことがあると思います。白くてすべすべの幼児の顔に火のついたタバコを押しつけることを想像してみてください。もしそれが目に入ったら?喫茶店や会議室で一緒にいる人のタバコよりも、無関係な通りすがりの人間のタバコの方が避けられないだけに困ります。怨恨による殺人よりも通りすがりの無差別殺人の方が恐怖なのと同じです。タバコは凶器です。

 愛煙家にとっては、いよいよ崖っぷちに追い詰められた感がする社会状況ですが、僕は愛煙家の全てが1箱千円時代を暗黒だとは思っていないような気がします。ひとつは、もしそんな事態になったらすっぱりタバコをやめられる、と思っている人たちがかなりいるからです。

 内心タバコをやめたいと思いつつも、意志薄弱なせいか単にきっかけが掴めないからか、はっきりと禁煙できない人というのは結構います。そんな人たちにとって1箱千円時代は、決意を固めるには絶好の契機になります。例え本人がそう思わなくても、妻子持ちなら奥さんが許してくれないでしょうし、若者はお金がないのでタバコのランニングコストに耐えきれないでしょう。

 まあ1箱千円だろうが、どれだけ社会の隅っこの方へ追いやられようが、何がどうあってもタバコをやめられないという人はいるとは思います。そういう人は、いよいよ追い詰められた隠れキリシタンの心境かも知れません。だとしたら、もはや「タバコ教」を立ち上げて、その信者としてタバコに殉じていただくしかないでしょう。どこかの施設に籠もって、タバコ税という多額の献金をしながら白い羽ならぬ黒い肺を持って安らかに天国にお行きください。


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