中部新国際空港（愛称セントレア）が開港しました。元気な名古屋を象徴してきた２大プロジェクトのひとつが遂に実現したわけです。セントレアの特徴はトヨタ自動車イズムが注入された効率化にあるわけで、単に巨大かつ尊大なイメージがある成田と比べてもコンパクトでしかも親しみやすい印象があります。もっとも、僕も足を踏み入れたわけでもないので本当に親しみやすい空港なのかどうかはわかりませんが。

　今後は成田、関空と競い合っていくことになるわけですが、何より「売り」は国内線とのトランジットの便利さ。羽田と成田、伊丹と関空の距離に比べて、同じ空港内でトランジットできる便利さはかなりのアドバンテージになります。首都圏と関西圏の客は取り込めませんが、それ以外の日本各地からセントレアへ飛んできて海外へという流れは十分に掴めます。「第３の空港」ではありますが、「地方の一番」を目指す戦略は悪くありません。

　もちろん、その陰で泣いているのがこれまでの名古屋空港。国内線だけでも残して欲しいという地元の要望も虚しく、ほとんどがセントレアに移っていってしまいました。今後は県営空港として小型旅客機の発着が主体となります。

　僕は実家が名古屋空港の近くにあったため、この空港には結構思い入れがあります。３才の時には「空港まつり」のイベントの一貫で写生大会があり、当時お絵描きを習っていた僕は最年少で入賞したのです。新聞にも名前が載り空港ロビーで表彰式もありました。僕の美術歴の頂点が３才だったのです。

　県営とは言え、その名古屋空港が民間用に残されたのは良かったと思います。完全に閉鎖されて自衛隊専用になってしまうよりも、セントレアのバックアップとしても意味があるし、外国の大都市には空港が複数あるのが当たり前です。将来さらに名古屋経済圏が発展してセントレアが満杯になった時には、きっと名古屋空港の重要性も増すことでしょう。