平成の大合併で日本全国に珍妙な自治体名が続々と登場しています。四国中央市とか西東京市とか「どこにあんだよ！」という名前もひどいですが、何といっても恥ずかしいのは南アルプス市だと思っていました。それはイタリアあたりにあるのですか？

　しかし、ここにきて抜群のネーミングセンスを持つ自治体が何と我らが愛知県に登場してしまいました。美浜町と南知多町が合併する新しい市の名前を「南セントレア市」とすると発表したのです。地元民にしてみれば目が点、よその人間にしてみれば爆笑ものの恥ずかしい名前です。

　「セントレア」とはいよいよ来月開港する中部新国際空港の愛称です。まだ「セントレア」が十分浸透したとはとても言えないし、もしかしたら「Ｅ電」の二の舞になる可能性だって皆無とは言えないのに、それを自治体の名前にしようという先見性、セントレアのお膝元は常滑市であり、美浜町や南知多町はほぼ無関係なのにそれに便乗しようとする戦略性。なにより素晴らしいのは新しい市の名前を公募したにも関わらず、その結果を完全に無視して１票もない名前を採用した勇気。

　単に「南セントレア」というネーミングのダサさとかカタカナはいかがかというレベルの話を超えて、これはもはや地元民としては悪夢としか言いようがないでしょう。合併協議会はこの名前を考案し、採用しようとしている人間は誰なのか、きっちりと公表すべきだと思いますが、恐らくリンチにあうので誰も表には出られないことでしょう。

　ただ一人喜んでいるのは新空港の社長だと思います。こうして思わぬところで開業直前に話題になって一気に「セントレア」の名前が売れたわけですから。もしかしたら、これはそこまで計算に入れた新手のプロモーション戦略でしょうか？だとしたら大したものです。