幹事クリタのコーカイ日誌2004

[ 前日翌日最新今月 ]


 
12月21日 ● 『ラストクリスマス』最終回。

 『ラストクリスマス』が終わりました。初回の冒頭から話の展開は見え見えのドラマで、注目はヒロイン矢田亜希子が死んじゃうのかどうかだけ。それだけで3ヶ月話を引っ張ったのだから大したものです。うーん、もしかしてまだビデオに録っただけで見ていない人、これを読んだらネタバレしてしまいますから、ここで読むのを一旦やめておいた方がいいかも。後の方で書いちゃう予定なので。

 で、このドラマについては過去にも触れましたが、とにかく徹底してトレンディドラマの手法をそのまま真似て作って、結構それで面白かったということが面白かったドラマでした。あのバブルの頃を思い起こさせる浮ついていて嘘臭くて甘い甘いデコレーションケーキのようなドラマ手法が、実は今でも通用するというのは意外な発見です。

 それは今の時代が実は当時と似た社会風潮だからなのか、それとも単に流行が一回りしてきたからなのか。もちろん、そういう面もあると思いますが、僕は前にも書いたように『ラストクリスマス』が一流のスタッフが本気で作ったドラマだからだと考えています。どんな手法であれ、完成度の高い作品なら見るに耐えるものになるのです。

 もうひとつこのドラマで注目したいのはキャスティングの妙です。そこそこ名前の通った俳優が顔を揃えていますが、だからと言ってエース級が並んでいるわけではありません。矢田亜希子と森山未來、玉木宏こそ今年注目を集めた赤丸急上昇株ですが、だからと言ってまだ一人で看板背負えるだけの格はありません。後はどちらかと言うと「昔の名前で出ています」という雰囲気のピークを過ぎた俳優陣が多く起用されています。

 主演の織田裕二がそもそも今さら恋愛ドラマかよ、という年齢ですし、りょうや桜井幸子もかつての看板女優。伊原剛志やMEGUMI、坂下千里子はあくまでも脇役、片瀬那奈はブレイクしそこなった人で、田丸麻紀はオスカーが押し込んでいる割にはちっともパッとしません。加賀まりこと児玉清は今さら言うまでもないでしょう。

 そんな視聴率を取るには少しずつ駒が足りないかなというキャスティングでありながら、それぞれの個性がうまく生かされていて、各人にも見せ場を作りつつドラマを運んでいった脚本家や演出家の手腕は大したものだと思います。特に伊原剛志は並行して『新選組!』で対照的な役を演じていたこともあって、これで一気に認知度も好感度も上がったのではないかと思います。

 そしてラストはみんなが幸せになる大団円。これ以上ないというハッピーエンドで締めくくりました。それも最終回は「冬ソナ」のパロディかと思うほどの雪景色まで添えて、純愛ドラマ仕立てで最後まで極甘に仕上げた確信犯ぶり。普通だったら少しはピリッとしたところも入れたくなるだろうに、あくまでもエンターテイメントに徹したスタッフのプロ意識の高さ。こんな極甘ケーキは胃にもたれるだけという批判など全く気にしない潔さが素晴らしいと思います。もうベタベタに甘いドラマだっただけに、僕もベタ誉めということで。ドラマにと言うよりも、スタッフにですが。

 

とりあえず、読むたびに(1日1回)

を押してください。 日記才人という人気ランキングに投票されます。
初めての方は、初回のみ投票者登録画面に飛びます。
結構更新の励みにしていますので、押していってくださると嬉しいです。