ゴスペラーズのヒット曲に「愛してるって最近言わなくなったのは　本当に貴女を愛し始めたから」という歌詞があります。好きになるとかえってむやみと好きと言えない、という心理は誰しも覚えがある感情でしょう。もっとも好きな人には「好き」と素直に言ってしまった方が楽になれるんですけどね。そう言えるようになるまでが大変なのです。

　前回お伝えしたように４５才にして「初恋」を知ったＭっちゃんは、以前は平気で女性に「愛してる」と言えたそうです。そう言っておけば喜ぶかな、という計算だけで感情を込めずに相手にその台詞を伝えていたのに、最近付き合ってはまっている初恋相手の「雌豹」さんにはその簡単な一言が全然言えないんだそうです。向こうから「好きって言ってくれないの？」と言われても、それでもなぜか言えなくてもごもごしちゃうらしく、「なんでだろう？」と首を捻っています。

　先のゴスペラーズの歌を教えてあげたら「ああ、それだよ、それ。オレはゴスペラーズなんだ！」と訳のわからない感動をしていました。なにせこれまで人間らしい感情を知らなかったＭっちゃんだけに、ひとつずつ人間として覚えていくことがあって大変です。まあ、４５才にもなってこうした感情を初体験できるというのは、ある意味羨ましくもありますけどね。我々が通り過ぎてきた青春時代を今頃になって経験しているようなものですから。

　先週土曜日に予定していた湿原デートをドタキャンされてしまったＭっちゃんですが、懲りずにいろいろ「るるぶ」を見てドライブ先を考えています。でもまだ彼女とのクリスマスの予定を決めかねているらしいので、いつもは三河方面をうろうろしているだけですが、ここはひとつマンネリ打破のために視点を変えて新幹線で京都に行ってみてはいかが、と提案しておきました。

　神戸じゃなくて京都なのは、ひとつは相手が子持ちのため、夕方までに帰ってこなければならないからより近い方がいいから。名古屋から京都は約４０分ですから、ちょっと隣町に行くくらいの感覚です。もうひとつは神戸よりも京都の方が落ち着いていていて大人のクリスマスデートにはふさわしいのではないか、ということもあります。

　クリスマスプレゼントにとＭっちゃんが考えているiPodとBOSEのスピーカーはすでに購入済みらしいのですが、それは自分で使いなよ、やっぱり１０万円予算があったらブランドもののバッグが一番喜ぶと思うよ、と強く言っておきました。そのバッグを持って京都の南禅寺で湯豆腐を味わうクリスマスというのが僕たちの提案です。なにせ予算の方は今までのＭっちゃんと違って金に糸目をつけず使う気満々なので、提案する方も勧め甲斐があります。

　「いま人生が本当に楽しいって思えるんだよね」というＭっちゃん。この幸せが長く続くとはあまり思えないので、しばらくは目が離せません。人生も恋愛もいつまでもそんな小春日和ばかりじゃありません。まあ今はとにかく楽しんでおいてください。