幹事クリタのコーカイ日誌2004

[ 前日翌日最新今月 ]


 
11月10日 ● カズもゴンも呼べ。

 サッカーW杯一次予選、日本はすでに5戦全勝で最終予選進出を決めています。最後は埼玉で行われるシンガポール戦。勝っても負けても関係ないし、多分どうやったって勝てる試合なので、ジーコ監督はここでこれまでの日本サッカーを支えてきたベテランたち、すなわち三浦知、中山、秋田らを代表に再招集するというプランを語りました。

 ところがこれに協会や評論家が猛反発。最終予選まで残り少ないのにそんな「遊び」をやっている暇はない、若手に少しでも経験を積ませろ、相手のシンガポールはもちろんカズたちに対して失礼だ、などと。挙げ句にアジアサッカー連盟までが「ベストメンバーで臨むように」なんて異例の文書を送ってきたそうで(メンバーを発表する前からこんなことを言うなんて、それこそ失礼な話だと思いますが)、仕方なくジーコも若手を入れてメンバーを組むことになりました。

 しかし、ジーコにしてみれば内心「真面目くさって面白くない連中だ」と思ったことでしょう。僕だってそう思います。そりゃ協会の言うことは一見正論です。しかし、世の中正論が必ずしも「良い」とは限りません。「right」であっても「good」であるとは言えないのです。正論だけで世の中が成り立ってしまったら、堅苦しくって息が詰まりますし、結局それは大きな目で見れば本当に良い方向に行くわけではないと思います。

 そもそもベストメンバーと言ったって、今回は国内組だけ召集しているわけですから、本当の意味では全くベストメンバーじゃありません。中田英も中村も小野も高原も川口もいない代表が本当にベストメンバーでしょうか?しかも若手を代表に入れたって、彼ら海外組が戻ってきたら弾き飛ばされるような連中は所詮ベンチを温めているだけで出番があるとは思えません。座っているだけで「経験」だと言うのなら、まあそれは良しとしても、その消化試合に座っていただけという「経験」が最終予選で生きる機会はゼロに等しいことでしょう。

 しかし、カズやゴンを入れれば、本当に最終予選の戦力として考えられている若手に与える影響や刺激は必ず大きいものがあると思います。埼玉のピッチに立てば大歓声を浴びること間違いなしのカズやゴンの姿を見て、興奮と憧れを感じない選手はいないことでしょう。そして日本のサッカーをこの10年支えてきた彼らから「代表」としての何かを得ることができるはずです。

 さらに言えば、このプランは最終予選へファンと一体となっての弾みをつけることができたと思います。国内の若手だけで地味な消化試合になるところを、ジーコのプランはサッカーファンを超えて話題性のあるイベントへと大化けさせるものでした。マスコミで大きく取り上げられれば、代表は最終予選に向けて引き締まりますし、世の中も盛り上がっていけます。それがまた代表の力へとフィードバックされるわけです。W杯は選手だけで戦うものではなく、協会もマスコミもファンも一体となって戦うものだということをジーコは知っているのだと思います。そのためにもベテランを再招集することが必要だったのです。

 ジーコのプランはいろいろな視点から考えて面白いアイデアでした。それを狭い視野からのみ考えた頭の固い正論で潰してしまったのはつくづく惜しいと思います。ジーコも「功労者を呼ぶ」なんて言い方をしないで、「ベテランの経験と精神力が代表には必要だ」と言ってカズやゴンを呼べば良かったのです。言い方ひとつで何とでもなったのに、そこが日本人じゃない悲しさですね。


とりあえず、読むたびに(1日1回)

を押してください。 日記才人という人気ランキングに投票されます。
初めての方は、初回のみ投票者登録画面に飛びます。
結構更新の励みにしていますので、押していってくださると嬉しいです。