幹事クリタのコーカイ日誌2004

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11月6日 ● 戸籍謄本から浮かぶ父母の姿。

 昨日相続に必要な書類ということで、父の除籍された戸籍謄本を取りに名古屋市内のM区役所に行ってきました。そこは父と母が結婚して新しい世帯を構えた土地です。そして僕が生まれてすぐにアパートが手狭になったので引っ越してしまった、2年半しか住んでいなかった土地です。

 その前に僕はN区役所で父が子どもの頃から結婚するまで住んでいた土地の戸籍謄本を取りました。それを読んでいると、昭和前半の匂いが立ち昇り、まだ幼かった父や伯父の姿が目に浮かぶような気分でした。

 そして昨日の戸籍謄本は昭和30年代、新婚時代の父と母の姿が、そして生まれたばかりの僕自身の姿が思い浮かびました。この土地に住んでいた時間は短かったですが、きっと若夫婦だった二人には希望と喜びが満ち溢れていた濃密な時間だったと思います。

 当時のことは母親から何度も聞いています。結婚式直前の昭和34年9月26日、名古屋を伊勢湾台風が襲い、寺であった母の実家は本堂が倒壊して危うく圧死するところだったとか、その台風のために引越しも終え先に父が住んでいた新居のアパートが床上浸水してしまい、結婚道具までダメになったとか、結局そのせいで結婚式自体を1ヶ月延ばしたとか。

 両親の結婚から1年半後に僕が生まれ、そして僕が1歳の誕生日を迎える直前に引っ越してしまった土地。僕の出生地でありながら、僕自身は記憶になくまたその後も足を向けたこともありませんでした。

 今回父が死んで初めて訪れたそこは、実に穏やかでゆったりとした時間が流れていました。区役所横にある公園でしばし立ち止まって木々を眺め、遊んでいる親子連れを眺めながら、思わず胸にこみ上げてくるものがありました。父の一生は幸せだったんだろうか?父は満足して死んでいったのだろうか?そして僕は満足して死ねるように生きているだろうか?親を亡くすということは、人生を立ち止まって振り返ることのようです。


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