幹事クリタのコーカイ日誌2004

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11月2日 ● 仏壇購入記。

 人生で仏壇を買う機会など一度あるかないかでしょう。最初から家に仏壇がある人は必要ないし、仏壇がなくても置くところもないからと一生買わない人もいることでしょう。僕もこの年になるまで仏壇を買おうと思ったことはもちろん、買うことを想定したことすらありませんでした。何となく縁のないものとして見過ごして生きてきたのです。

 しかし、父が亡くなって母はすぐに仏壇購入を具体的に考え始めました。僕は「ええっ、そんなにすぐに必要なものなの?」と思ってビックリしていたのですが、四十九日の法要までにはと寺にも言われてしまったので、緊急度がいきなり香典返しを考えることよりも上位になってしまいました。

 急遽仏壇についてネットで調べた僕はその高額さにまたまた驚いてしまいました。安いものでも数十万円、高価なものは数百万円以上もするのです。周りに聞いてみても「百万円はくだらない」「知り合いの家は仏壇に一千万円をかけた」などという空恐ろしい話を耳にして、僕はびびりまくりです。

 すでに葬儀代が200万円近くかかっています。墓石も買わなければなりません。その上、仏壇にクルマ一台分はとてもかけられません。「葬式保険」とかないんでしょうか?ああ、普通は生命保険がそれに当たるわけですよね。なにせうちの父は一切生保をかけていなかったのでそれはゼロなんです。

 と言うことで、何とか母を納得させることができる見栄えのする仏壇を、僕が納得できるリーズナブルな価格で入手したいと強く願いながら仏壇店に赴きました。仏壇店に入った正面にビッグでゴージャスな仏壇がドドドーンと置いてあります。気になるプライスは500万円超。うーん、最初からやってくれます。この仏壇とセルシオがほぼ同額。納得いきません。

 うちは浄土真宗なので仏壇も黒檀や紫檀ではなく派手派手な金ピカ仏壇だそうです。ちょっと高いんです。誰がそんなこと決めたんだ?親鸞か?で、同じ真宗でも東本願寺(大谷派)と西本願寺(本願寺派)では微妙に仏壇の作りが違う上、京都系と名古屋系でまたカタチが違うそうで、あれやこれや細かい決まりがあるらしいのです。

 仏壇なんてその辺のやつを適当に見繕って買ってくればいいや、なんて甘い考えを持っているととんでもない目に遭います。なにせ仏壇だけではなく、仏具ひとつでもお寺の言うことを聞かないと「買い直し!」と言われてしまい、パシリの中学生が焼きそばパンを買い直しに行かされるように泣く泣く高い仏具をまた買わなければなりません。間違いは許されないのです。

 そんなわけで、僕も母も仏壇店の店長の言うことをいちいち「ふむふむ」と頷きながら、それでも何とか「安く」という強い姿勢は崩さずに仏壇と仏具を選びました。小さな団地に豪華な仏壇は不釣り合いですから、コンパクトで見た目にすっきりとしているものを選び、仏具も華美にならず最低限のもので、なおかつお寺に怒られないレベルはクリアしているものをチョイスします。と言っても金ピカですからどうやっても派手なんですけどね。

 選び終えて店長が見積書に数字を書き並べています。当初覚悟していたよりはかなり安くなっていたのですが、ここから母と二人で値引き交渉。実は住職をしている叔父から「4割値引きしても仏壇店は十分儲かっている」という情報を得ていたので、母は最初から「3割引いてくれ」という強気の姿勢。かなりびびった店長ですが、「いや、うちは最初から適正なお値段で出していますからそれは無理です」とさすがにガードが堅い。母は「葬儀屋からの紹介だから10%引きは当たり前。しかもあんたの伯母さんと私は知り合いなんだから(偶然そうだったらしいのです)そのよしみでさらに15%は引けるでしょ」と無茶なことを言い出します。

 結局渋る店長に僕が見積もりの端数を切るカタチで18%程度の値引き額を提示して納得させました。まあこのあたりはクルマを購入する時のテクニックと一緒です。二人組になって片方がガンガンと攻めて、もう一人が落とし所を提案する。キリの良い数字にしたところでさらに母が「お経のテープが欲しいからサービスでつけて」と言ってそれもゲット。さすが我が母です。父が死んでもますます元気。

 仏壇を買うときにここまでシビアな値引き交渉をする人は少ないらしいのですが、高額な買い物をする時の値引き交渉は実利を兼ねた一種のゲームでありストレス解消ですから、やらなければもったいないです。まあこれで何とかかんとか父のこれからの住処も決まり、次は墓石です。こちらは一周忌までにと言われているので、もう少し長期戦ですけどね。


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