幹事クリタのコーカイ日誌2004

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10月19日 ● もはや「合宿」の時代ではないのか。

 我々のテニスサークルは19年の歴史を誇っています。僕がサークルを創設したのが25才の時。サークルを作ってすぐの春には早くも第1回の合宿を行い、それ以来実に32回も合宿に行っています。

 もっとも合宿と言っても、テニス漬けの強化合宿ではなく、サークルの親睦旅行のようなもので、テニスは土曜日午後と日曜日午前で合わせて7時間。後は宴会と観光です。あくまでも社会人のお楽しみですから毎回違う場所に出かけ、観光にしてもテニスにしてもいろいろ企画を盛り込んでいます。行ったことがない観光地に春と秋、ドライブがてら出かけられるのは楽しいものです。

 サークルの中で長らく一番重要なイベントとして位置づけてきた合宿ですが、実は最盛期は数年前。インターネットを通じて仲間がどんどん集まっていた頃は、合宿も毎回14〜15人くらい参加して大賑わいで楽しんだものでした。

 ところがここ3年くらい合宿の参加率が極端に低くなってきました。特に女性陣の集まりが悪く、ダブルスができる4人ぎりぎりという状態が普通になってしまいました。そして今回の秋合宿、11月に若狭の方へ行こうと半年前から企画していたにも関わらず、なんと1ヶ月前のこの時点で参加確定者がわずか男2女1の3名。つまり幹事の僕以外に男女1人ずつしか参加しないという惨状になってしまったのです。

 サークルのメンバーは30人以上います。いつも土曜日の練習に参加するのはその中の20人前後。それで3人ということは参加率1割、土曜日のメンバー20人のうち17人は日曜日に予定が入っているのでしょうか?いや、そんなことはないはずです。

 かつては参加率が軽く5割を超えていた時代がありました。自分が参加できない日程ではイヤだと言って、別の週に自分で宿を押さえてきたからその週に合宿をずらせ、と言ったメンバーもいたくらい、昔は参加意欲が高かったものです。どうしても日程が合わずに参加できないメンバーは必ず差し入れなどを持ってきたという時代がはるか昔のことのようです。

 こうなってしまった原因はひとつではないでしょう。いろいろな要素が考えられますが、一番大きな原因は「世代による意識の違い」ではないかと思っています。今の20代〜30代前半は所属しているグループに対する帰属意識がかなり低いような気がします。僕たちだって上の世代から見ればそう言われていたわけですが、それが近年ますます進んだ感じです。

 人付き合いも深くならないようにしているという彼らは、もちろんサークルに対してもあまり深く関わらないで、うす〜く、かる〜く、ライトに付き合おうとしているようです。そんな人たちが「親睦」を目的として、1泊2日で飲み会と観光のための旅行なんて、参加する意欲が沸かないのも当たり前なのかも知れません。なにせ親睦を深めようという気がそもそもないんですから。

 もちろん、みんながみんなそうだとは思っていません。大体自らテニスサークルに参加しようと思うだけ、同世代平均よりも親和性や協調性が高いとも考えられるからです。しかし、それでいてこの参加率。みんな明らかに合宿に対する優先順位が低く「どうしても行く」という強い意志が全く感じられません。

 まるで最近流行らない会社の慰安旅行と同じような状況ですが、会社というのは好きで集まったメンバーではありません。あくまでもプライベートと切り離された職業集団です。ところがテニスサークルというのは自分の意思で参加している趣味の仲間、プライベートそのものです。本来成り立ちからして会社と同一視できないはずなのに、同じようになってしまうところがおかしいのです。

 もうひとつ感じるのは、いまの20代は同世代同士でしかつるめない人間が多いということです。年齢差のある相手との付き合い方を知らないので、どうしても狭く閉じた人間関係に陥っているような気がします。もちろん、個人差はありますし、僕たちだって若い頃にはそういう傾向があったことは否めませんが、それにしたってここまで極端ではなかったと思います。

 とは言え、強制して参加させるようなことでもないし、参加したいという魅力に乏しいと思われるのもどうしようもありません。なにせ僕たちは十分に楽しいと思っているから、改善しようにもあまり手を思いつかないのです。一番良いのは行かない若い世代が企画してくれることですが、彼らはそもそもそういうことに馴染みません。なんだか投票率の低い20代を選挙に行かせようと言っているような虚しさを感じます。意識が低いんだからどうしようもないって。

 こうなるとサークルの合宿自体今後は成立しないのではないかと危惧しています。聞けば他のサークルでも似たような状況に陥り、かつてあった合宿の企画をすることを放棄したところもあるそうです。

 せっかく縁あって知り合った仲間なのに、親睦を深めないでどうするんだ、と思うこと自体に意識のズレがあるんでしょうね。仕事以外のつながりを大事にしないといけないよ、と思うのはまさに中年の証拠なのかも知れません。説教臭いオヤジの繰言のようになってしまいました。でも若い奴にはわかんないんだろうなぁ。


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