とうとうプロ野球選手会はストライキに突入することになりました。ペナントレース終盤、もっともプロ野球が盛り上がるこの９月の３連休にストライキですから、これは興行的にかなりの痛手です。特に巨人戦を迎える名古屋のファンにとっては残念でなりません。ここで巨人にトドメを刺そうと思っていたのですからね。

　とは言え、世論はとりあえず選手会側に好意的なようです。そりゃそうです。ここまでの流れは明らかにプロ野球機構側が悪役、話のわからない頑固ジジイの集まりであり、古田選手会長は悪に立ち向かうヒーローとなってしまいました。いま古田が選挙に出たら大量得票で当選すること間違いなしです。トヨタ労組の絡みもあるし、民主党は是非とも古田を取り込みたいことでしょう。

　ただ、今回ストを打つことに関してはファンも寛容だと思いますが、この先にどういう展開が待っているのかわからないだけに、状況が変われば古田もいつまでもヒーローではいられないと思います。

　例えば機構側が頑なに譲歩をしなかったら？選手会はこのままシーズンが終わるまでストを継続するのでしょうか？そうしたら今年のペナントレースはなかったも同じことになってしまいます。そんなことになったらファンは決して選手会を許さないでしょう。と言って、大した譲歩も引き出せずにストをやめたら、それはそれでその腰抜けぶりを批判されることでしょう。退くも進むも茨の道です。

　では古田はどこで矛を収めるべきか？理想的には近鉄がオリックスとの合併を凍結することでしょうし、次善はライブドアの来季からの参入を認めることでしょう。どちらもファンの側からみればたやすいことですが（新球団は確かに時間が足りないかも知れないから、近鉄がライブドアに身売りするのが一番無難じゃないのか？）、なぜか機構側はそれを困難だと主張し続けています。やる気がないのだから仕方ありません。となると、結局のところ文言だけの譲歩になって、最終的には時間切れで来季はやっぱりパ・リーグ５球団ということになりそうな気がします。

　そんな決着で果たしてみんな納得するでしょうか？「選手会よくやった、古田よく頑張った」と誉めてくれるでしょうか？多分ダメでしょうね。「選手会はストまでやったのに何も引き出せなかった」「選手自身も身銭を切って年俸を大幅に減額するとかしないとダメだろう」などと言われる可能性の方が高いと思います。単にストをやれば何とかなるんじゃないか、と思っている選手もたくさんいることでしょうが、古田はそこまでバカじゃないですから、ストが劇薬であることは百も承知でしょう。だんだんテレビに映っている古田の顔がキリストのような受難者然としてきたと思うのは僕の思い込みでしょうか？