幹事クリタのコーカイ日誌2004

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9月17日 ● その教え方はいかがなものか。

 先日テニスをしていた時のこと。隣のコートからやたらとこちらのコートにボールが転がってきます。何をしているのかと見たら、コーチらしき男性が7人くらいの男女にレッスンをしていました。一見して初級者だとわかるレベルですから、球出しのボールがあちらこちらに飛んでしまうのは仕方ないかと思う反面、それにしてもあまりにもひどいので、どんなレッスンをしているのかと注視していたら、これがもう驚くべき内容でした。

 見ているとコーチらしき人物がボレーを教え始めたたのですが、その教えた打ち方が極端なスライス(ボールに逆回転をかけること)打法なのです。スライスと言うよりは「チョン切り」、いやそれさえ違うな、まさに「大根切り」でした。ラケットが前に動かずに上から下へと動くのですから。

 確かにボレーではスライス回転をかけるのが理想です。それによって低く滑るボールが打てるので、例え相手が返してきてもボールが浮いて次にまたチャンスボールが来る可能性が高いからです。ただ、そのスライス回転はあくまでもボレーをする時に面を少し上向きに開きながら前に押すことでかかる回転であって、決して上から下にラケットを振り下ろして打つものではありません。

 ところがコーチは素振りさせる段階で明らかにラケットを頭の上から足元まで振り下ろすように指示しているのです。フォアボレーもバックボレーもコーチの言う通りに素振りを繰り返す生徒たち。実に奇妙な格好でラケットを振り下ろすその様は、テニスと言うよりも何か新興宗教の踊りのようでした。

 あんなフォームでボレーができるわけないのにと思いながら見ていると、次にコーチが実際に球出しをしてボレー練習を始めました。生徒たちは素振りのフォームを忠実に守ってボレーをするのですが、もちろんまともに当たりません。ボレーの基本は肩を入れてボールの高さに合わせてラケットをセットしたら、そのままステップインして足で前に押し出すこと。手でラケットを振り回してもミスする確率が高くなるばかりです。

 ところが彼らはラケットを頭上に構えてそこから思いっきり下に切り下ろしています。フォアボレーは正面を向いたままでテイクバックは手を斜め上に振り上げるだけ、バックボレーは極端に捻るので背中を向けてしまいます。体重は後ろの足にかかったままですから、前へステップインもしていませんし、ラケット自体も前への動きがほとんどありませんから、ボールは当然の如く全て下に叩き付けられてしまいます。ほとんどがネット。たまに何とかネットを越そうと努力している生徒はラケットを極端に上向きにしますから、今度は大アウト。そもそもそんな難しい打ち方をしているので、ラケットにすら当たらず空振りをすることがしばしばです。

 テニスのレッスンで何が一番簡単かと言えば、僕は球出しによるボレー練習だと思います。遠いボールや速いボール、低いボールならともかく、ネットの前に立っているところに普通に肩の高さに球出しをしたら、それにラケットを当てるだけですから、誰でも向こうのコートにボールが返せます。返すだけならうちの鈍い10才の娘でもできます。なのに彼らは全然ボールが向こうのコートに入らないのです。10球のうちせいぜい2球返ればいいところ。あれで疑問を感じない方がどうかしていると思います。

 挙げ句にそのコーチは今度はローボレーと遠くのボレーの練習を始めました。懸命にステップを教えています。簡単なミドルボレーもできないのに、そんな難しいボレーの練習をする必要はどこにもありません。案の定、彼らのボレーはフレームショット連発で、僕たちのコートにさらにどんどんと飛び込んできます。いい加減迷惑だなと思って睨んでいたら、さすがにコーチは気づいてボレー練習をサービス練習に切り替えましたが。

 それにしてもおかしなコーチとその生徒たちでした。あんな教え方をするなんて、なにか奇妙な信念でもあるのでしょうか?で、そのコーチ自身はどうやってボレーをしていたかと言うと、普通に面を作ってきれいにボレーをしていたのです。ますますおかしいです。

 しかし、ことがテニスだから僕も「おかしいな」と思えるわけですが、これが全く門外漢のことだったら「そういうものか」とあの生徒たちのように信じてしまうかも知れません。最初に誰について教わるかというのは本当に大事だと思います。変な癖がついてしまってからでは直すのに本当に時間がかかりますから。あの生徒さんたちが一刻も早く間違いに気づいてくれれば良いのですが。


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