イチローが相変わらず素晴らしい活躍を続けていますが、その割にマリナーズの成績はどん底です。最近のイチローのコメントを見ていると、チームメイトに対する不満がかなりたまっているように感じます。イチローひとり頑張っても勝てるわけではないですし、自分の頑張りがチームの結果に結びつかないイライラがよりチームメイトに対する厳しいコメントになってしまうのだろうと思います。

　イチローに限らず、懸命に努力を続けている人は、ついつい他人にもより高い努力水準と結果を求めがちです。確かに「自分がこれだけやってるんだから、せめてこのくらいはやってくれよ」と思うのも無理からぬ話です。しかし、その相手が本当にさぼっているのならともかく、実は結構頑張っているんだけども結果が伴わない時は可哀想です。頑張って努力して成果を挙げている人から見ると、結果が伴っていないということはイコール頑張ってない、努力が足りないと映りがちですが、そうじゃない時もありますからね。

　仕事ならチームで担当している時についつい仲間内で足を引っ張っられていると思うと不満が噴き出しますし、テニスのダブルスなどでもペアが喧嘩するのは、そういう状況が多いと思います。誰だって負けようとかミスをしようとか思ってプレイしているわけではないのですが、結果が伴わないとどうしても相手に厳しく当たってしまいがちです。

　もっと言えば、男女の恋愛関係でも同じです。片一方がマメな性格で、もう一方が比較的ルーズだと、ついついマメにいろいろ頑張っている方がイライラして感情をぶつけることになります。「連絡するのも計画を立てるのもこちらからばかりで、ロクにメールの返事もくれない」「一生懸命プレゼントを選んであげたのに、なんで記念日をコロッと忘れているの？」なんてトラブルは、もちろんルーズでいい加減な方により問題はあるのですが、頑張り過ぎている方にも責任の一端がないとは言えないのです。頑張りすぎると周囲がついていけなくて疲れてしまいます。

　逆に言えば、あまり物事を頑張らない人は、他人に対しても要求しないので優しくなれる場合もあります。まあそれは「優しい」のではなく単に「甘い」だけかも知れませんし、自分はやらないで人にばかり文句を言う人も世の中にはたくさんいますから、決してひとくくりにはできません。本当に余裕のある人は、自分が頑張って他人には優しくいられる人です。僕もそうありたいとは思いますが、なかなかそこまで立派な人間には簡単になれません。イライラの種、あんまり多いから。