幹事クリタのコーカイ日誌2004

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4月21日 ● 『愛し君へ』第1回。

 今クールはちっともドラマに食指が動かなかったのですが、さすがに月9だけはと思って『愛し君へ』を見てみました。さだまさし原作『解夏』のドラマ化です。もっとも僕は原作も読んでないし映画も見ていないので、大まかな設定は知っているものの基本的には新鮮な気分で楽しむことができました。

 ドラマは長崎での葬式と精霊流しのシーンから始まります。さだまさしをデビュー時から知っている中年世代にとっては懐かしい見知ったような気になる導入部で悪くありません。

 全体に脚本は少々センチメンタルに過ぎるというか、ドラマドラマしていてリアルさが感じられませんが、それはまあそういうテイストのドラマだと考えることができます。まだ20代半ばである登場人物たちが今どきの若者らしくないのも、さだまさしワールドだから良しとしましょう。やはり一番の問題は危惧していた通り主役二人にありました。

 藤木直人と菅野美穂。月9の主役を今さら張るようなタマでしょうか?菅野美穂は好きな女優ですが、正直華がありません。藤木に至ってはすっかり旬が過ぎた感じが漂っていて、ドラマ全体が沈んでしまいます。脇役が結構派手なだけに、余計に主役二人のシーンになるとトーンが下がってしまうのですから困ります。

 しかもこの二人、役柄がまるでキムタクと松たか子の安いバージョンなのです。特に藤木がキムタクっぽくて目のやり場に困ります。実力はあって内面はとても優しくて繊細、でも照れ隠しかそういう面はあまり見せないで偽悪的な振る舞いをしてしまう。まさに「キムタク様」の黄金パターン(ワンパターン?)な役回りを、安いキムタクよろしく藤木直人が演じているのがもの悲しく映ります。本当はキムタク主演でやりたかったんじゃないの?って感じです。あれでは藤木が可哀想でした。これは演出家の罪でしょうか。

 脇役も豪華で派手ですが、ちょっと引っかかったのは最近のフジのドラマで当たった連中をそのまま持ってきていること。時任三郎と泉谷しげるは『Dr.コトー診療所』からそのまま借りてきていますし、森山未來と玉木宏は『ウォーターボーイズ』つながり。そして伊東美咲は『クニミツの政』、岡田義徳は『ビギナー』。そして八千草薫はここのところ毎年フジのスペシャルづいていて、去年夏の『海のオルゴール』ではナレーションもやっていました。

 それぞれが各ドラマで印象的に活躍したのは良いけれど、その印象をそのまま新しいドラマに引っ張ってきてしまうと素直にドラマに感情移入できないのが辛いところです。例えばドラマの中で岡田義徳の遺品から六法全書が出てくると「ああ、司法修習生だったからな」なんて思ってしまうわけです。森山と玉木は高校の先輩後輩なんだよな、とか、時任と泉谷は一緒に島から出てきたのかな、とか。

 本来このドラマは主役二人が見せていくべき内容だと思うのですが、脇役のキャスティングに力が入りすぎたことがかえって足を引っ張ってしまうような気がしてなりません。何でもかんでも『白い巨塔』のように脇役まで豪華でなくてもいいと思います。挙げ句にはなわまで出ていましたが、まさに勇み足なキャスティングだと思ってしまいました。


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