幹事クリタのコーカイ日誌2004

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4月17日 ● 感情的な、あまりに感情的な。

 イラクで拉致された人質の邦人3人が無事解放されたことは大変喜ばしいことだと思います。解放した武装勢力と日本政府の間にどのような交渉があったのかはわかりませんが、少なくとも地道に説得を重ねたであろう政府の努力は認められるべきですし、またそれに応じた武装勢力も最初に思ったよりはまともな連中のようです。

 今回の事件では様々な事柄が並列に論議されました。その中でもっとも僕にとって印象的であり驚きであったのは、人質になった3人とその家族に対するバッシングです。拉致された3人は犯罪者ではありません。その思想的背景が報道されるように例え左翼的であったとしても、少なくとも善意でもってイラクに入国し、何らかの人道的な活動をしようと試みた人々です。

 また彼らの家族がどのような言動を取ったとしても、反社会的な声明文を発表したわけでもなく、何とか家族の命を救ってくれと必死になって訴えていただけです。もしかしたら政治的に利用しようとした人間は背後にいたのかも知れません。しかし、そうだとしてもあそこまでひどい感情的なバッシングを家族が受けるいわれはないはずだと僕は思います。

 僕は広告屋ですから、ついつい考えてしまいます。もしあの短髪の妹さんが、セミロングの黒髪で、そして仲間由紀恵か矢田亜希子のような楚々とした美人であったなら、そして伏し目がちに涙を浮かべながら、それでも気丈に「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。わたしはただ無事に帰ってきてくれさえすればそれだけで十分です」とでも言って記者会見を終えていたなら。多分世間は爆発的に彼女を支持し、自衛隊を撤退させてでも人質の命を救えと大合唱したのではないかと想像してしまいます。

 それほど今回のバッシングは感情的なものであり冷静さを欠いたものだったと思います。最初は同情的だった世論は、家族の記者会見以降、いきなり「自業自得」論に傾きました。週刊新潮などのその最たるもので、まるで犯罪者のごとき扱いで人質とその家族を揶揄した記事を掲載しています。内容は2チャンネルレベルであり、少なくともメジャーなマスコミのすることとは思えません。

 センセーショナリズムに走り、冷静な議論を見失っているマスコミと、それに踊らされるように同じ方向に走り出す大衆。今回の事件に限らず、最近の日本の「ブームに乗ってしまう」体質は極めて危ういものを感じます。ま、広告屋がそれを言うのは天に唾するようなものかも知れませんが。


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