幹事クリタのコーカイ日誌2004

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3月3日 ● 『オトナ語の謎』の謎。

 昨日『ラストサムライ』における真田広之の素晴らしさについて語ったところ、意外に多くの方から賛同のメッセージをいただきました。ありがとうございます。見ている人はちゃんと見ていますねぇ。

 さて、今日の本題。去年12月にネットだけで販売を始めた糸井重里監修『オトナ語の謎』。超有名サイト「ほぼ日刊イトイ新聞」から生まれた企画が本になったもので、当初はネット販売だけだったのですが(この本について僕に最初に教えてくれた某嬢もネットで即ゲットしていました)、結局一般書店でも売り出されてどこでも入手できるようになってしまったので、わざわざネットで手に入れた人には少しガックリだったかも知れません。僕も書店で手に入れたのですが、会社のデスクに置いてちびちびとウィスキーを嘗めるような調子で読み進んでいます。

 糸井重里と言えば、もはやコピーライターという枠をすっかり超えてしまった文化人タレント(?)ですが、基本的にはこういった「ビックリハウス」以来の伝統芸的お遊びには本当に才人ぶりを発揮する人。この本も随分と笑わせてもらいました。

  例えば「ブレイクスルー」の解説のところで、例文として「フラッシュでジャストなアイデアですが、このプロジェクトの現状をドラスティックにブレイクスルーするためのクリティカルなアイテムとなりそうです」と言う一文が挙がっていました。もちろん、さすがに糸井重里はこんなバカなことを言うな、というつもりで作ってはいるのですが、実際に我々の会社でも、会議の席上で誰かがこういうことを言い出しそうな雰囲気があります。

 こうしたカタカナ語の濫用は特に広告代理店っぽいわけですが、それだけではなく「なるはや」とか「ペラいち」とか「カンパケ」とかの省略語も確かに我々は普通に使っていますし、一般的な言葉である「突っ込む」「落とす」などの用語でも、辞書に載っていないような用例が「オトナ語」では満載です。

 しかし、ふと冷静になって考えると、僕のような広告業界に身を置く者には、これらの用語はど真ん中のストライクであっても、全然関係ない業界、例えば「銀行業界」とか「鉄鋼業界」とか「運送業界」とか「教育業界」とかの人はどう思っているのか、ちょっと不安になってしまいます。

 「本当にこんな言葉使っているの?」「聞いたことないけど、イトイが作った冗談じゃないの?」なんて、もしかしたら思われているのかも。良くできた冗談だなぁ、と思いながら読んでいる人もいるかも知れません。

 糸井重里はこれらの言葉を社会人がよく使う「オトナ語」として採用しているわけですが、本当にこれは「オトナ語」なのか、それとも単なる「広告業界語」なのか、そのあたりが実は僕には謎です。単なる業界用語なら、「オトナ語」とするのは誇大広告という気がします。実のところどうなんでしょうね?『オトナ語の謎』の謎です。


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