幹事クリタのコーカイ日誌2004

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3月2日 ● 真田広之の美しさ。

 残念ながらアカデミー賞の助演男優賞にノミネートされていた『ラストサムライ』の渡辺謙は受賞できませんでした。と言っても、今回の結果は事前の予想通りで驚くには値しませんし、ノミネートされた5人の中に残っただけでも素晴らしいことだと思います。

 僕も『ラストサムライ』は見ましたが、確かに主演のトム・クルーズを食ってしまうほどの迫力と存在感を渡辺謙は示していて、特に欧米人には受けることだろうと思いました。しかし、僕があの映画の中で注目したのは、あまり評判にはなっていない真田広之の方でした。

 今回のアカデミー賞では真田広之が主演した『たそがれ清兵衛』も外国語映画賞でノミネートされていましたから、真田広之はもっと話題になっても良いと思うのですが、世間の注目はなぜか渡辺謙一辺倒でした。

 しかし、僕は『ラストサムライ』と『たそがれ清兵衛』で真田広之が見せた所作の美しさこそ日本の美であると秘かに感動していました。元々JACのホープであり、アクションスターとしてデビューした真田広之ですから、動きの素早さと切れの良さは定評があるところでしたが、近年の真田広之の動きにはそこに美しさが加味されて、例えアクションシーンではなくとも、惚れ惚れするような立ち居振る舞いを見せてくれます。

 『ラストサムライ』における凛とした真田広之の佇まいは、欧米人にもわかりやすい渡辺謙の過剰なまでの存在感とは違って、伝わりにくいかも知れないけれど、本当の意味での東洋を感じる美しさがありました。

 僕は真田広之と年齢が同じということもあって、大学生の頃から彼の演技を注目してきました。映画デビューの『柳生一族の陰謀』や初主演作の『忍者武芸帖・百地三太夫』も見ていますし、『魔界転生』や『里見八犬伝』などの角川映画、『伊賀のカバ丸』『コータローまかりとおる!』といったマンガ原作もの、『快盗ルビィ』『どっちにするの』というアイドル映画、そして『麻雀放浪記』『病院へ行こう』『僕らはみんな生きている』『つぐみ』『継承杯』『写楽』『イースト・ミーツ・ウェスト』『はつ恋』などの話題作まで、ほとんどその出演作は見てきました。あ、僕は真田広之の追っかけではないですよ。日本映画が好きで見てきただけです。

 さらに彼は『太平記』『高校教師』などのテレビドラマや『LITTLE SHOP OF HORRORS』『オケピ!』などの舞台まで含めて、作品ごとに着実に演技の幅を広げ続け、その成長ぶりはまさに目を見張るものがありました。それが今回ノミネートされた二作に結実したのだと思います。

 渡辺謙は『ラストサムライ』の高い評価の結果、次は『バットマン』への出演が決まったそうですが、真田広之にそういうオファーがあったという話はまだ聞いていません。彼の弱点は、その整った顔立ちの割には「スター」ではなく「役者」なので、彼の力で客を呼べるというカリスマ性が希薄なところです。しかし、これからますます真田広之は日本を代表する俳優として、これまで同様着実にステップアップしていくに違いありません。楽しみです。


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