あんなに最初のうちは突っ込みどころ満載で楽しく見ていた『エースをねらえ！』ですが、昨晩は気づけばごく普通に見てしまいました。テニスと恋の両立に悩むひろみ。とっても恵まれた立場にいるのに、ぐだぐだ悩んで甘えるんじゃないわよ、という周囲の叱責にも「そうそう」なんて頷いたりして。すっかりドラマに同調してしまっています。

　冷静に見ればおかしなところは相変わらずたくさんあるんですが、人間はどんな強い刺激にも慣れていくのです。お蝶夫人の口調にもファッションにもいつの間にか馴染んできてしまったし、宗方コーチの和服姿も違和感なく平気で見ているし、相変わらず下手なひろみたちのテニスも「そんなもの」と受け入れてしまいました。

　炸裂する宗方語録も、突き抜けるお蝶夫人ワールドも、慣れてしまえば心地よい。逆に言えば、ただのドラマに見えてきてしまったら面白さは半減です。ドラマ制作者は、全９回のこのドラマの中で、どんどん刺激を強くするようにすべきだったと思います。僕はもう飽きる寸前です。

　テニス愛好家としては、ちょこちょこ出てくる有名選手を見るのが楽しいですね。先週は日本のトップ選手をひろみに見せるということで、小野田倫久が出てきました。現在のデ杯候補選手で日本のトッププロの一人です。また今週はビデオでしたが、ヒンギスが登場。若くして現役を引退してしまった元女王ですが、確かにひろみに手本として見せるに相応しいクレバーな選手です。まあ根性一本槍のひろみにヒンギスの真似は無理だとは思いますけど。

　そうそう、このドラマが健闘しているお陰で、テニス部が昔のように入部希望者でいっぱいになったりするのかどうかが、テニス愛好家として一番の興味です。僕たちが学生の頃は、本当にテニス部って人気あったんですよ、って、若い人に言ってもわからないよなぁ。