幹事クリタのコーカイ日誌2004

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2月2日 ● 200億円は払い過ぎ。

 青色LEDを発明した中村修二氏に対し日亜化学工業に200億円の支払いを命じた判決が下りました。その額の大きさに驚きますが、世間の声としては「そりゃいくらなんでも貰いすぎだろう」というのが大半のようです。

 もちろん、ある意味世紀の大発明に対する対価としてはそれくらい認められてもいいだろうという気もしないではありません。しかし、社会通念的には明らかに「価格破壊」なとんでもない金額です。素直に払ったら会社は潰れてしまいます。法律が社会を維持するためにあるのなら、会社が潰れてもいいから、個人に使い切れないようなこんな大金を払えと命じるのはやはりおかしいと思います。

 また普通の企業に勤める技術者にも夢を見られるように、という考えも中村氏は示していましたが、会社勤めの技術者というのは、町の発明家とは違います。中村氏もそうですが、彼らはみなリスクを背負わずに研究開発に携わっています。会社から身分と収入を保証されて、会社の施設と資金を使って研究をしているのですから、単純にこの発明でいくら儲かったからと言って、それに比例して成功報酬を受け取るのはおかしいでしょう。ローリスクハイリターンを求めるのは、フェアではありません。

 もし途方もない金を得たいのなら、自分で事業を興すべきなのです。リスクを背負って戦った者は、いくら大金を稼ごうとも後ろ指をさされるいわれはありません。しかし、安全な場所にいてリターンだけ貪ろうという考え方は支持されるとは思えません。

 プロスポーツ選手との比較論も持ち出されていましたが、彼らは非常にリスキーな職業です。身分の保障もなく故障と常に戦っています。また稼げる年数もごく限られています。いくらイチローが年俸12億円でも、それを一生貰い続けることができるわけではないのです。そもそもプロスポーツ選手というのは、それになる段階ですでに厳しい選別を経てきています。そんな彼らが激しい生存競争をしているのだからこそ、瞬間的に何十億という大金が得られるのです。

 もちろん中村氏が青色LEDの発明で会社から貰ったのは2万円だけだったそうで、確かにそれでは「スレイブ(奴隷)」だし納得がいかないでしょう。だからと言って200億円でもない。控訴審ではもう少し常識の範囲内の金額を弾き出して欲しいと願います。


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