幹事クリタのコーカイ日誌2004

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1月16日 ● コント『エースを狙え!』。

 見るつもりはなかったのですが、ついつい魔が差したように『エースを狙え!』を見てしまいました。すごかったというか、笑えたというか、ほとんどコントのような感じでした。あまりにも突っ込みどころが多く、逆に来週以降も見たくなったことを僕は正直に告白しなければなりません。

 このドラマがコントになってしまったのは、(1)原作に問題がある (2)30年の時間の隔たりに問題がある (3)ドラマ化に問題がある の3点が複雑に絡んでいるからです。それぞれの要素が相乗的に絡まりあって、世にも稀なコントドラマが生まれてしまったわけです。

 まず(1)原作の問題は誰しも納得できるでしょう。ベタな少女マンガノリは当時の基本ですから仕方ないにせよ、やはり女子高生なのに「お蝶夫人」というあだ名はひどいし、それを面と向かって言う後輩もすごい。縦ロールも頭のリボンの存在感も、とにかくお蝶夫人は軽井沢夫人よりも笑えます。

 (2)もすごいです。ドラマの舞台は一応2004年に設定されているらしいのですが、やっていることは1970年代ですから、それを無理矢理にくっつけた感がとても奇妙な雰囲気を醸し出しています。いかにもイマドキの女子高生の制服を身にまとった岡ひろみと、奇妙なドレスを着て海を見つめるお蝶夫人のファッション感覚の落差。携帯電話が一切登場しない高校生活が2004年に存在するのでしょうか?奇妙なパラレルワールドを見ているかのようです。

 そして(3)です。テニスシーンがチープな「少林サッカー」と化しているのはまだしも、ドラマ化に当たって、俳優のテニス経験は一切問わなかったのでしょう。あまりにも稚拙なプレーぶりは突っ込むことすら忘れさせてくれます。初心者という設定の岡ひろみの下手っぷりは目をつぶるとしても、デ杯選手だった過去をもつ宗方コーチや、トップジュニアであるお蝶夫人の、一生懸命カッコつけているけど、やっぱりぎこちなくてとてもテニス経験者には見えない動きは何とかならないものでしょうか?

 20年ほど前に宮本輝の原作をドラマ化した『青が散る』という作品がありました(詳細を知りたい人は「青が散る」ファンクラブ通信のサイトをご覧ください)。大学テニス部を舞台にしたこのドラマでは、まだ新人だった石黒賢や佐藤浩市が見事なテニスの腕前を披露してくれたものです。青春ドラマとコント(?)では違うのは当たり前かも知れませんが、やはりテニスが上手な設定の役には、テニス経験のある俳優をあてて欲しかったと思います。

 突っ込みどころ満載の『エースを狙え!』ですが、僕のような原作を知っているファンはともかく、原作を知らないでこのドラマを見てしまった若い世代が、原作までも低く評価するとしたらそれは少し悲しい話です。そういう意味では、もう少しドラマにも頑張って欲しいですね。


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