幹事クリタのコーカイ日誌2004

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1月15日 ● 『13歳のハローワーク』。

 これはもうすでに旧聞に属する話かも知れませんが、村上龍の『13歳のハローワーク』が売れています。僕も先月、娘と一緒に書店に行った時に見つけて、娘が欲しいと言ったので「2600円かぁ」とその高さに躊躇しながらも内容の素晴らしさに買ってしまいました。

 ご存知の方も多いと思いますが、この本は村上龍が子どもたちのために書いた職業ガイドブックです。500を超える様々な職業を村上龍ならでの観点から紹介しています。いわゆる村上龍節ですから好き嫌いはあるでしょうし、会社員や公務員ではない「手に職」的な仕事に偏っている嫌いはありますが、何よりこの本の素晴らしさは、子どもたちに「好きな仕事」を見つけてもらいたい、という気持ちから書かれていることです。

 前書きで村上龍は「2種類の人間・大人とは、自分の好きな仕事、自分に向いている仕事で生活の糧を得ている人と、そうでない人のことです。そして、自分は何が好きか、自分の適正は何か、自分の才能は何に向いているのか、そういったことを考えるための重要な武器が好奇心です。好奇心を失ってしまうと世界を知ろうとするエネルギーも一緒に失われます。」と書いています。そして、好きな仕事につくために、「虫が好き」とか「音楽が好き」とか「スポーツが好き」とか、子どもの興味に合わせた分類でそこから派生する職業を紹介しています。

 我が家の14歳の息子は好きなことが見つけられないタイプで、10歳の娘は好きなことがたくさんあって迷ってしまうタイプ。どちらにも読んで欲しくて買った本ですが、結局一番熱心に読んでいるのは大人であり職業人である僕です。

 「好きな仕事、向いている仕事」を自分がしているかどうか、実際に働いている大人の方が身に沁みて考えます。そして、他の仕事の紹介を読みながら「ああ、こんな仕事に就いていたら、また違う人生があったろうなぁ」と思いを馳せます。

 ずっと日本では「良い学校を出て良い会社に入る」ということが全てのように子どもたちに教えられてきましたし、未だにその価値観から我々はなかなか抜け出せずにいます。しかし、現実の社会では東大を出て一流企業に入っても将来は確実ではないことが明らかになってきてしまいました。明治維新以降ずっと堅固に守られてきたいわゆる「エリートコース」が本当に有効なのか、検証を受ける時代なのです。

 今は改めて子どもたちに働くこと、職業を選ぶことについてどう教えるのか、考えなければならない時期にきています。それについて学校はいかにも無力ですし、教員の経験しかない学校の先生に教えられることにも限界があります。親として子どもたちに何を教え伝えていくのか、この本を読みながら考えてみたいと思っています。

 

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