40代を越えると、周りにいる人間も似たような年回りの輩が多くなります。僕の場合は幸いテニスをしているせいで、ずっと若い20代の人たちとも付き合いは多いのですが、やはり仕事周りで話をする多くは中年世代。当然のことながら話題もそれらしくなってきます。

　同業他社のＮ村くんは僕と同学年で、まだ20代半ばの頃からの長い付き合いです。今はライバル会社にいますが、昔は仕事仲間としてよく一緒に遊んだものでした。彼は見た目は「のび太顔」で人畜無害なルックスをしているのですが、実は昔から大の女好き。僕と違って素人も風俗も両方ＯＫというバイタリティあるタイプです。昨日書店で偶然バッタリ会ったので、そのまま喫茶店で話をしました。

　Ｎ村くんが「いやぁ、今年ももう終わってしまいますねぇ。来年こそは愛人のひとつも作ってみたいもんです」などと言うので、まだまだビョーキは治っていないんだなぁ、と思ったら、「いやいや、もう若い頃のようなことをしたいとは思っていないんですよ。面倒臭いでしょ、そういうの。じゃなくて、なんかちょっとエロいことをしてみたいんですよ。そんな愛人が欲しいですよねぇ」とのこと。「やりたい盛りはとっくに過ぎたので、今はエロい盛りなんです」だって。

　彼が言いたいことは何となくわかります。かつては「種馬」と呼ばれるほどの旺盛な精力を誇った男も、四十路を越えるとさすがにそれほどの元気はない。でも心の中の「エロスの火」は相変わらず燃えさかっているので、そういう気分だけを堪能したいわけです。

　「田代まさしのことを肯定するわけじゃないですけど、ああいうことをしたくなる気持ちは僕はよく理解できるんですよ」というＮ村くんの言葉に、僕は「ああ、これが中年男なんだな」と、自らが中年男であることを忘れて納得してしまいました。

　そりゃ若い女性から「いやらしい」と嫌われるわけです。目指しているのは、爽やかなスポーツのようなセックスではなく、ねっとりと絡みつくようなエロス。そんな情念を理解できる若い女性はなかなかいません。もし理解してくれる女性がいるとしたら、きっと30代も後半になった恋愛の達人クラスの女性でしょう。

　Ｎ村くんは「クリタさん、合コンやりましょうよ、40代の合コン」と言うのですが、僕は残念ながらそんな「エロい盛り」の合コンはあまり興味がありません。Ｍっちゃんを紹介するので、そちらに合流してもらうか、もしくは同窓会でも開けばいいんじゃないかと言っておきました。40代の同窓会というのは、なかなかエグイものがあるという話を聞いたことがあります。怖いです。