山田監督を解任した中日ドラゴンズは1ヶ月かかって次の監督を落合博満に決めました。敢えて中庸を取らず、思い切って針を振り切った選択をしたな、という印象です。

　球団が落合新監督に求めたモノは、そのまま山田前監督に対する不満でもあったことがこれで証明されました。すなわち「人気」「話題性」「客寄せ」です。

　今の中日にはファンを惹きつける魅力がありません。かつて唯一全国区の人気を誇っていた星野のクビを切ってみたら、阪神でさらに大きく化けてしまいました。残ったチームには地味なキャラクターばかり。ナゴヤドームから客足は遠のき、このままでは来季のシーズンチケットも売り切ることができるかどうか心許ないという状況です。

　山田のクビを切ったのは、チームが弱くなったからではありません。客が来ないからです。当然、後継の監督はカリスマ性があって「見に行こう」と思わせることができる強いキャラクターが必要でした。中日OBの中から消去法で考えたら落合しか残らなかったというのは、ファンサイドからみてもよくわかります。とりあえず落合のお陰で来季の中日は注目、ということにはなりました。

　とは言え、やはりチームが弱くなってしまっては、落合人気も続くはずがありません。「オレ流」と呼ばれ、徹底した個人主義を貫いた落合にチームをまとめられるのか、という不安は当然ありますから、結果が伴わなければすぐに「そらみたことか」と叩かれることでしょう。

　しかも中日OBと言ったところで生え抜きではない上に、FA宣言して憎っくき巨人に移ってしまった「裏切り者」というイメージが未だに名古屋では残っています。落合を迎えるファンの目は決して温かくはありません。落合のキャラクターは結果を出してこそです。勝てなかったら1年でクビだって十分にあると思います。

　とりあえず就任早々落合は「右の四番が欲しい」と言っています。当然です。福留が成長してセ・リーグ最強の三番打者になったのですから、後は40本100打点を稼げる右の大砲です。かつての落合自身のような打者がいれば、中日の来季優勝確率は30％以上にまで跳ね上がると僕は予想しています。

　後は投手陣を見ることができる有能の投手コーチと、落合を補佐できる経験豊富なヘッドコーチでしょう。指導経験がない上に個性の強い落合です。彼を助けられる監督経験があり信頼できるコーチがぜひとも必要です。できることなら投手コーチに山田、ヘッドコーチに佐々木を残すことができたら完璧な首脳陣なのですが、さすがにそうはいきません。落合がどれだけ球界に人脈があるのかわかりませんが、四番とコーチ次第で天国にも地獄にも転ぶことは間違いないと思います。