幹事クリタのコーカイ日誌2003

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9月12日 ● それは「ひつまぶし」ではない。

 『Dr.コトー診療所』の最終回を見ようと思ってテレビをつけたら、とんねるずの『みなさんのおかげでした』の人気コーナー「食わず嫌い王選手権」でした。そのゲスト千秋が選んだ料理のひとつが「ひつまぶし」。最近はかなり全国的にも知られてきたようですが、もちろん名古屋の名物です。僕も大好物で、いろいろな鰻屋でひつまぶしを食べてきました。

 ところがテレビで千秋の元に運ばれてきたひつまぶしを見て、僕は愕然としました。ひつまぶしというのは、鰻が細かく短冊状に切ってお櫃全面に並べられているものです。それを茶碗に盛って、そのまま食べ、薬味をかけて食べ、お茶漬けにして食べ、と三種類の味わいが楽しめるというのが特徴なのですが、テレビに出てきたひつまぶしは、単なる大きめの「鰻丼」でした。

 鰻の切り方が鰻丼のように大きくて、それが適当に散らして置いてあるのです。あれでは茶碗で食べるには大きすぎます。もちろんお茶漬けにしたら、とてもじゃないけどサラサラと掻き込むことはできません。一目で基本ができていないとわかるひつまぶしで、海原雄山なら見るなり憤然と席を立って帰ってしまうことでしょう。

 テレビで見た限りでは、あの鰻が東京風に蒸してあるかどうかまではハッキリとしなかったのですが、もし蒸してあったらさらに具合が悪いこと間違いなしです。特にお茶漬けにした時には、ぱりぱりと少し香ばしいくらいが美味しいわけで、鰻がベタベタしていたら台無しです。

 千秋は「おいしい」とか何とか言いながら食べていたような気がしますが、それは嫌いなものを当てるコーナーだから本当に美味しいと思っていなくても言うから仕方ありません。ただ、本気であのひつまぶしを美味しいと感じたかは怪しいと思いました。

 石橋貴明に名古屋のどの店で食べたかと聞かれて、「デパートの上」の鰻屋で食べたと千秋は答えて「えーっ?」と言われていましたが、それは松坂屋の「あつた蓬莱軒」のことでしょう。ひつまぶしと言えばまず名前が上がるのが「いば昇」と「あつた蓬莱軒」ですし、タレントを連れていくなら、松坂屋の上が一番便利で小綺麗ですから。ただ、あの店のひつまぶしを食べていて、番組で出されたひつまぶしを食べたら、恐らく全然別物だと思います。本当に千秋が美味しいと思ったかどうか知りたいものです。

 最近は地方の名物料理が全国で食べられるようになってきましたが、今回のひつまぶしのように、似て非なるものを食べさせている店がきっとたくさんあることでしょう。その偽物を食べて「大して美味しくないね」とか言っている人がたくさんいるとしたら、それは料理に対してもお客さんに対しても失礼です。ブームに乗って全国に広がり始めた讃岐うどんなんて、大丈夫なんでしょうか?


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